二度ある事は三度ある V-STROM250 (DS11A) -since 2017-

V-STROM250

「さあ、踏み出そう。」

Vストロームシリーズの末弟として登場したV-STROM250/DS11A型。

GSX250Rと同じエンジンなのでGSX250R/GSR250の系譜に載せてもよかったんですが・・・コレがまあ何とも良く出来ているのでコチラへ。

ブイストローム250

主な特徴としてはアップライトなポジションにシート高800mmと足つきを考えたシート周り。

更にフロント周りも見直されていて、ハンドルの切れ角+2度に加えトレール変更でハンドリングを安定志向に。

ヘッドライト

ちなみに怪鳥ことDRからの伝統であるV-STROMらしいダブルフェンダー(ライトフェンダー)のクチバシなんですが、250だけはDJEBELを彷彿とさせる大きな丸目。

知らない人も居るかもしれないので説明するとDJEBELというのはコイツです。

ジェベル250

大きなお目々のオフ車で人気でした。スズキ唯一のオフ成功車と言っていいんじゃないかと。

V-STROM250だけ丸目になったのはアジア(というか日本)が主要市場なのが大きいんでしょう。

Vストローム

別メーカーのデザイナーが話されていた事なんですが、欧州と日本ってデザインの好みが全く違うから割り切りが大事なんだとか。

実際オンロード重視の17インチやアドベンチャーとしては絞ってあるポジションや車格などを見ても明らかにアジア向けですもんね。

話を戻しますがV-STROM250は最初タイトルをスズキの奇跡と掛けてスズキセキにしようかと思ったほど本当によく出来ています。

何がよく出来るのかって話ですが、先ず第一にアドベンチャーとしての装備がデザインに負けないほど高いレベルで纏まっている点。

Vストローム250ディティール

・ウィンドスクリーン

・多機能液晶メーター

・サイドケースアタッチメント

・大型アルミリアキャリア

・ナックルカバー

・センタースタンド

・ABS(2018から標準)

ほぼ完備に近い形でオプションのケースをつければ完成する。

Vストローム250オプション

そしてこれほどの装備を誇っているにも関わらずABSモデルで税込み602,640円という決して高くない車体価格も凄い。

あんまり大きい声では言えないのですがスズキは値引くのでコレがほぼ乗り出し価格っていう。

なんでこんな安いのかといえばGSR250というバイクが既にあったから。

Vストローム250エンジン

正確に言うとGSR250の為に造られたボアよりストロークが大きい今時珍しいロングストロークエンジンがあったから。

パワーを絞り出す高速型ではなく下からモリモリ来る中低速型なので疲労感もなく、燃焼効率も良いから実測で30km/L切らないという低燃費性。

Vストローム250

そんな正にアドベンチャーの為に造られた様なエンジンを使っているから見直して低速トルクを稼ぐなどのコストが掛からず装備も特性もコスパも優れたモデルに出来た。

恐らくこれを超える250アドベンチャーは簡単には出ない・・・というか出せないと思います。

何故ならこのロングストロークエンジンというのはなかなか造れないから。

DS11Aエンジン

エンジンというのは開発や製造に億単位のお金が掛かるので使い回す事が基本。

そうなった時に最大馬力が稼げないロングストロークエンジンというのはアピールポイントとしては弱く、使える車種が限られて流用し辛いから。

じゃあなんでスズキだけ造れたのかというと、このエンジンは元々は中国向けのバイクに造られた

『荷物や人を載せて長距離を燃費良く走る』

という事をアピールポイントに造られた物だから。

だから用途が親しいアドベンチャーにバッチリ嵌ったというわけ。

V-STROMって本当に面白いんですよ。

Vストロームシリーズ

シリーズには1000と650もあるんですが、一番最初に出たのは2002年の1000でエンジンの元はTL1000S/Rというスーパースポーツの物。

TL1000S/Rが思ったほど伸びず、そのエンジンを使って新たに造られたのがV-STROM1000なんです。

TL1000SとVストローム1000

それがSS由来の元気でパルス感もあるVツインエンジンとアドベンチャースタイルがワインディングから長旅までマルチに使えるとして欧州で人気になり、そしていつしかV-STROM1000だけに。

これはV-STROM650も同じで、積まれているエンジンはSV650というストリートスポーツの為に造られたエンジン。

SV650はロングセラーだったんですが、モデルライフの長さからセールスが落ちて来た事と1000の人気から2004年に派生として造られたのが始まり。

SV650とVストローム650

そしたらこれまた1000とは違って街乗りですら使えるマルチパーパスとして本家SV650を押しのける程の人気になった。

そしてそしてこのV-STROM250も先に話した通り。

Vストローム250

GSR250として日本にも入ってきたものの今ひとつ理解されず、エンジンを活かせる別モデルとして造られたのがV-STROM250。

兄たちと同じ様に評判もかなり良く、既に国内でもGSRやGSXを超える販売台数(2018上半期1120台)を記録。

面白いというのはこの事。

V-STROMシリーズって生い立ちが全部一緒なんですよ。

専用設計の鳴り物入りで登場したわけでも、当初から予定されていたモデルでもない。既にある資産を活用する形で誕生した分家でありながら、出来の良さから本家を押し退けてしまう程の人気を獲得する。

ds11a

250も気付けばV-STROM250だけになるでしょう・・・まさに托卵する怪鳥。

『V字回復のV-STROM』と言えますけどね。というかそっちのほうが正しいか。

主要諸元
全長/幅/高 2150/880/1295mm
シート高 800mm
車軸距離 1425mm
車体重量 188kg(装)
[189kg(装)]
燃料消費率 31.6km/L
※WMTCモード値
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルSOHC二気筒
総排気量 248cc
最高出力 24ps/8000rpm
最高トルク 2.2kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前110/80-17(57H)
後140/70-17(66H)
バッテリー YTX9-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
CPR7EA-9
または
U22EPR9
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量2.4L
交換時2.1L
フィルター交換時2.2L
スプロケ 前14|後47
チェーン サイズ520|リンク116
車体価格 528,000円(税別)
[558,000円(税別)]
※[]内はABSモデル
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

エコの裏で蠢くエゴ BURGMAN FCS (DR11A) -since 2017-

バーグマン フューエルセルスクーター

「フューエルセルスクーター」

国内唯一の燃料電池二輪車として登場したバーグマンFCS。

既にナンバーを付けて公道での実験走行が始まっており、2020年頃の一般発売を目指しています。

白バイバーグマンFCS

イギリスでは既に白バイとしても試験的ながら活躍中。

一度の補給で120km走る事が可能で最高速度は75km/hとの事。

※今回はバイクの話というよりもEV&FCVや国や企業の話が中心です。

バイクではまだまだメジャーではないので、恐らく自分を含め多くの人がEV(電気自動車)とFCV(燃料電池車)の違いが今ひとつ理解出来ていないと思います。

と言うか興味ない人が大半か・・・モーターショーでこのバーグマンFCSも試乗できたんですが人気なかったようで。

構わずに話を進めますが、まずEVについてはヤマハが出したEVバイクEC-03を例に紹介。

EC-03

電動バイクはバッテリー(電池)に蓄えられている電気でモーターを回して走る・・・まあ普通ですよね。

ただし電気自動車がモーターからシャフトを通してタイヤを駆動させるのに対し、バイクの場合はインホイールモーターといって文字通りホイールの中に直接モーターを仕込む構造が一般的。

インホイールモーター

「EVはトランスミッションが不要」

と言われているのを聞いたことがあると思いますが、それはモーターの場合トルクカーブ(パワーバンド)が無いに等しく、また回転数の幅も広いことから変速が要らないから。上の写真にも載っている遊星減速機一つで事足りるわけです。

ただしこれは厳密にいうと

「トランスミッションは無くても大丈夫」

と言った方が正しいかもしれません。

NSKインホイールモーター

ベアリングでお馴染みNSKが変速機能(LOW/HIGH)付きを2017年に開発しました。

何故こんな物を作ったのかというと、ホイールに収まる小さいモーターでも動かせる様にするため。

クルマは大きなモーターで、バイクのはそこまでのトルクは要らないから今のところ不要ないのが現状。

クルマは重いからインホイールモーターになったら変速機が必要になるかもね。

もちろんインホイールモーターではないEVバイク、ガソリンエンジンのスペースがバッテリーと大きなモーターになっていてチェーン駆動するタイプも既にあります。

エネルジカ

これはイタリアメーカーENERGICA(エネルジカ)が作っているEVバイク。

145馬力/6000rpmで、上で言ったように開け始めから最大トルクが出るのでスタートダッシュは200馬力のリッターSSよりも速いです。

製造元のエネルジカは2019年から始まるMotoGPのEVクラスMoto-eにも車両(ワンメイク)を用意する予定。

そんなEV車にとって欠かせないメカニズムがあります。

「回生ブレーキ」

というやつです。

モーターでタイヤを回すのではなくタイヤ(駆動)でモーターを回す制御に切り替えて発電するシステム。

化学反応

そうする事でモーターが発電機となりバッテリー充電するというわけです。ガソリン車でいうエンジンブレーキと近いですね。

ではFCV(燃料電池車)は何なのかというと、水素を燃やして走る・・・と勘違いしている人が多いですね。それは燃料電池車ではなく水素燃料車です。

ハイドロジェンRE

マツダがやっている「ハイドロジェンRE」がそれです。

何故にマツダのしかもロータリーなのかというと、吸気・圧縮・燃焼・排気を全て同じ燃焼室でやるレシプロエンジンと違い、それぞれ別の部屋になるロータリーの方が自然発火(ノッキング)を起こしやすい水素と相性が良いから。

水素ロータリー

ただマツダの研究レポートを読むにパワーがガソリン車の半分ほどしか稼げず、光化学スモッグや酸性雨を引き起こす有害物質のNox(窒素酸化物)が出てしまう事に手を焼いているようです。

これが完成すればマツダが天下を取る日が来るかもしれませんが・・・そう簡単には行かないようですね。

いま話題になっているFCV(燃料電池車)というのは水素を燃やして走るのではなく、蓄えている水素と空気中の酸素で化学反応を起こし、生じた電力でモーターを回し走る車のこと。

化学反応

だからトヨタなんかがFCVと言っているけど、FCEV(フューエルセル エレクトリックビーグル)とも言われていて、大まかな括りで言うと電気自動車(EV:エレクトリックビーグル)と一緒。

バーグマンFCSの構造

そしてこれがこのページの主役である(ハズの)バーグマンFCSのチャート。燃料電池という所で水素と酸素の化学反応を起こし発電しています。

何故日本メーカーがこれほどまでにFCVに注力しているかというと、EVのデメリットを看過できないと判断したから。

「長い充電時間」

というデメリットです。

EV-NEO

スズキのEV原付であるe-Let’sは満充電に4時間かかります。

昨今の急速充電では30分前後で満充電に出来ますが、バッテリーに負担がかかるため寿命を縮めます。

しかも満充電で走れる距離はわずか30kmしかない。

水素充填

それが水素ならガソリンと変わらない充填速度。サッと入れてサッと出られる・・・と言うと

「バッテリーを交換式にすればいい」

と思う人も多いと思います。

e-Let'sのバッテリー

スズキもそう考えてe-Let’sは交換式バッテリーを採用しています・・・が、これはこれで問題がある。

脱着式にして手軽に交換可能にするには持てる重さにしないといけない。

電動アシスト自転車のバッテリー等を持ったことがある人なら分かると思いますが、リチウムイオン電池というのは意外と重い。

そして軽くするためには容量を減らすしか無い。でもそうすると今度は航続距離が伸びない。

リーフは400km

日産の電気自動車リーフは満充電でe-Let’sの約13倍となる400kmを走れます・・・が、これはe-Let’sの40倍近い約300kgものリチウムイオン電池を積んでいるから。

リーフのバッテリー

話題のテスラなどは600kg前後と更に倍近い量を積んでいます。おいそれと交換できる重さと量ではない。

問題はまだあります。

スマホやノートPCなど日常生活に欠かせない物になっている事から軽く考えている人が多いのですが、リチウムイオン電池というのは危険物です。

EV-NEO

衝撃や水が加わると簡単に、一瞬にして発火・爆発する危険性がある。伊達に空路輸送が制限されているわけではないです。

モバイルバッテリーのバッテリー

関係ないですが安物のモバイルバッテリーとかも危険ですよ。

そんな危険物とは知らずにコンクリートの上に誤って落とすなどの乱雑な扱いをしたり、走行中のクルマに踏まれて発火なんて洒落にならない。

簡単にアクセス出来るようにすればするほど、今度はそういった危険性が増す。だから電気自動車は一番安全なクルマの中心の底面に置くのが一般的。

リーフのバッテリーの場所

爆発起こしてメーカーに過失があるなんて言われたら会社が傾きます。

しかしEVで一番問題となるのは資源。

EVというのは今説明したようにリチウムイオン電池が大量に必要なので、リチウムやコバルトといったレアメタルを大量に使う。

ドライブバッテリー

もしも現在のガソリン車が全てEVになると枯渇すると言われており、そのため既に争奪戦が勃発中で価格は毎年上昇。

このレアメタルの代用品となりうる物が出来ない限りEVの普及には壁があるわけです。劣化もしますからね。

コバルト

だから今どのメーカーもリチウムイオンに変わる全固体などの新電池の開発に血眼です。

スマホやPCにとっても大きな躍進となるので、開発できたメーカーは世界一に上り詰める可能性だってある。

ではもしリチウムイオンに変わるバッテリーが誕生しレアメタル問題が解決したら大丈夫なのかというと・・・今度は電力不足問題が出る。

発電施設

全部がEV車になったら電力が全く足りない。

トヨタの人いわく、現在の電力では約20%ほどしか補えないそうです。

だから電力にもレアメタルにも依存しないFCVこそ新のクリーン・・・というのが日本の見解なわけですが、FCVにも大問題があります。

「水素ステーションを作らないといけない」

という問題です。

水素ステーション

ガソリンやガスが何十年も掛けて築いてきたインフラと同等の物を、電線から拝借するだけでいい充電ステーションと違い、水素ラインとして0から作っていかないといけない。

経済産業省主導で2020年度までに160か所、2025年度までに320か所の水素ステーション整備を目指すそうですが、それでもガソリンスタンドの3,500ヵ所には程遠い数。

ちなみに充電スタンドは既に20,000箇所にまで増えています。

水素ステーション協業

さて・・・恐らく多くの人が

「なぜ国はこれほど水素を推すのか」

と疑問に思っているハズ。

まずこれは最近トランプさんが脱退して話題となったパリ協定

「第21回気候変動枠組条約締約国会議(COP21)」

が根底にあります。

COP21

温室効果ガスを減らすための協定です。

最近になってEVやらFCVやらが話題になっているのは、ここでそういう取り決めが2015年に行われたから。

その中でのエネルギー政策の水素部門は・・・なんと日本が大幅リード。水素に賭けているんだから当たり前といえば当たり前ですが。

日本がなぜ水素に注力しているかというと

「化石エネルギーの依存度を下げたい」

と考えているから。

化石エネルギー依存度

日本が水素水素と言っている理由はこれ。

EVだと電力が必要になる。そして日本は発電にもガスや石油といった化石エネルギーを輸入してるのでEVでは依存度を下げられない。

かといって原発の増設は世論が許さない。

日本の企業もEVの充填時間に使用者が耐えられないと考えているので、水素推しに同調している。

せっかく手に入れた生活必需品という地位を利便性が下がる事で失いたくないですからね。

では他所の自動車先進国はどうかというと欧州はEVに全力です。

ヨーロッパ

これはEV先進国として主導権を取り、言葉が悪いですがEV利権を手に入れるため。

そのため2040年前後までにガソリン車の販売を禁止するという暴挙のような方針。あのドイツも最初は反対していたのに最後はEV派に・・・。

アメリカ

パリ協定脱退で揺れているアメリカはどっち付かず。

ただしアメリカの中でもカリフォルニア州はZEV規制というものを敷いています。

これは要するに

「EVやFCVを一定数売らないとガソリン車も一定数以上売っては駄目」

という厳しい規制。ただしこの規制にはもう一つ大事なルールがあります。

「ガソリン車枠は売買することが出来る」

というルール。これで利益を上げているメーカーがあります。

テスラモーターズ

いま話題のテスラモーターズです。

EVしか売っていないのでガソリン枠をすべてビッグ3やトヨタなどへ高値で売っている。

テスラモーターズはこの枠の売買で成り立っているとも言われています。

ちなみに意外に思うかもしれませんが、このCO2ゼロ車の急先鋒に居るのは自動車先進国の日欧米ではなく中国です。

中国

中国も2019年からNEV(ニューエナジービーグル)規制というカリフォルニア州と同じような規制を敷きます。

「なんで中国が」

と思うかもしれませんが、中国ももちろん日欧米と同じく環境保護だけが狙いでは無い。

中国には守るべき自国の自動車メーカーが居ない。だからEVという新たなスタートラインに強引にでもする事で自国の自動車産業を発展を促し、日欧米の自動車メーカーに対抗できうるメーカーを生み出すのが狙い。

ちなみに既に都市部ではガソリンバイクは走れません。インドも同じように考えこのNEV規制を導入する事が決まりました。

COP21

このようにエコについて手を携えている裏では、互いが互いを出し抜こうというエゴな思惑が蠢き合っているわけです。

人間という生き物はつくづくナントカカントカですね。

あんまり暗い話ばかりもアレなので、最後にスズキの話。

一体なぜホンダでもヤマハでもカワサキでもなくスズキが何処よりも早くFCVなんて次世代を担うかもしれないバイクを出したのかというと、スズキには苦い歴史があるから。

バーグマン125FCS

スズキは昔、車もバイクも2st一辺倒でした。

その為1980年頃に定められた排ガス規制のマスキー法をパスできるエンジンが無くなり、売れるものが無くなってしまった。

倒産の危機を迎えたスズキはトヨタに相談しダイハツからエンジンを供給してもらうことで一命を取り留めたという苦い過去があるんです。

詳しくは>>「トヨタも昔バイクを売っていた ~豊田家と鈴木家~」

この一件でスズキは開発体制を見直しました。

トヨタとスズキの技術提携

つまり最近スズキとトヨタが技術提供の道を進んでいる事、そしてこのバーグマンFCSが出てきた事は

「同じ過ちは二度としない」

というスズキの教訓が今もしっかり守られている事の現れというわけ。

HYDROGEN FUEL CELL BURGMAN

次世代の乗り物がどう進んでいくのかは誰も分からないのが現状。

でも一度失敗をして学んだスズキなら大丈夫でしょう。

それどころか、もしかしたら

クロスゲージ

「ワシらの頃はスズキと言ったら変なバイクばかりじゃった・・・」

なんて言っても信じてもらえないスズキの時代が来るかもしれない。

主要諸元
全長/幅/高 2055/725/1240mm
シート高
車軸距離
車体重量 約199kg(装)
燃料消費率
燃料容量
エンジン 強制空冷式交流同期電動機
総排気量
最高出力 6.1ps/7650rpm
最高トルク 2.3kg-m/1870rpm
変速機
タイヤサイズ
バッテリー
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
推奨オイル
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
スプロケ
チェーン
車体価格
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

2190万円の妥協と志向 RC213V-S (SC75) -since 2016-

RC213V-S

「操る楽しさ(Fun to Ride)」

一言で表すなら公道を走れるMotoGPマシンRC213VであるRC213V-S。

税込みで2190万円ながら世界で約200台強(シリアルレス含む)が作られ発売された模様。正式な生産台数は明らかになっていません。

ちなみにカラーリングはトリコロールと全塗装向けカーボンモデルの二種類。

RC213V-Sカラーリング

開発メンバーはRC212VやCBR1000RRW(ワークスのW)の開発責任者を務められた宇貫さんをトップに、同じようにRCVに携わって来た人達ばかり。

目標は至ってシンプル。

RC213V

「公道を走れるRC213Vを作る」

ということ。

同じV4スーパースポーツという事でRC30/45と同列に語られていたりしますが、生い立ちは全く違うバイクです。

RC30/45は市販車レースで勝つために作られたホモロゲーションモデル。VTR-SPなんかもそう。

ホンダ360度V4

対してRC213V-Sは二年連続MotoGP三冠達成を記念して作られたメモリアルモデル。だからどちらかといえばNRの方が近い。

ちなみに市販車レースには車体価格がレギュレーション(40,000ユーロ)を余裕でオーバーしているので出場できません。

RC213V-Sサイド

ところでRC213V-Sについて少し検索してみると

「2190万円」

「公道MotoGPマシン」

といった話題性のある言葉だけで何が凄いのか(需要ないからか)書かれていないのでまず

「RC213V-Sの凄い所」

を少しだけ書いてみます。

まずはもちろんエンジンから。

RC213V-Sピストン

ホンダレーサーの証である360度クランクV4、そして十八番であるカムギアトレインをVTR-SP以来となる十数年ぶりの採用。

ホンダが一般的な市販車でカムギアトレインを止めたのは騒音の問題もありますが

「高耐久&高精度&小型」

な歯車が何個も必要でチェーンの比ではないコストだから。

RC213V-Sカムギアトレイン

予算もヘッタクレも無いRC213V-Sでは採用して当然ですね。

まあそこら辺は如何にもホンダのV4スーパースポーツという感じなので特に驚くような事では無いかと。

しかしエンジンの外見を見てみると何やらそれまでの市販車とは違う歪さがある。

RC213V-Sエンジン

オイルパン(オイルを溜めるエンジン底面)が面白い形をしているのが分かると思います。

これはRC213V-Sがセミドライサンプという方式を取っているから。

RC213V-SとVFRのエンジン

オイル室がエンジン(クランク)の底あるのがウェットサンプ方式、別の部分に溜めるのがドライサンプです。

人間で言えばウェットサンプは足湯~掛け湯で、ドライサンプはシャワーだけみたいな感じ。若干違いますが。

ではRC213V-Sのセミドライサンプが何なのかというと、オイルは先ほど言ったファラオの顎飾りの様な細長い部分に溜められています。

RC213V-Sオイルパン

「じゃあウェットサンプじゃないか」

と思いますが、実はそのプールがあるのはエンジン(クランク)の下ではないんです。

RC213V-Sクランク

一つ後ろにあるミッション室の下の深い所でクランク室はギチギチ。

これはクランクの動きをオイルに邪魔させないため。

クランクの下に溜めるウェットサンプはシンプル構造でエンジンをコンパクトに出来る反面、状況によってはオイルプールが偏り、回っているクランクが沈んで(叩いて)しまうんです。

RC213V-Sクランク

回っているクランクにとってはこれが抵抗(撹拌抵抗)となりレスポンスが悪くなってしまう。

「オイル量を減らすとレスポンスが上がる」

って聞いたことがあると思いますが、それもこの状況を防ぐため。下手したらエンジン壊れますけどね。

ちなみに0.1km/Lでも伸ばす事に血眼になっている最近の四輪エコカーが0w-20のサラサラオイルが標準となったのもこれが大きな理由です。

RC213V-Sオイルポンプ

その心配がドライサンプなら要らない。

何故ならクランクの下には最低限のオイルしか無いから。

オイルラインをわざわざ別に設けないといけなくなるのでコストは跳ね上がりますがRC213V-Sには関係ない話。

RC213V-Sオイル

更にセミドライサンプにはもう一つ狙いあります。それはクランク内圧というやつです。

クランク内圧

クランク室は真空ではなく空気が入ってます。

ここで問題となるのがピストンが膨張や吸気時など下がる時にクランク室を圧縮(圧迫)して高圧にしてしまう事。高圧になるとピストンの動きを妨げるのでロスになります。

そこでRC213V-Sはドライサンプを活かしたクランク内圧コントロールをしている。

RC213V-Sシリンダー

クランク室からのオイル回収ラインに一方通行のワンウェイリードバルブを設けているんです。

こうすることでクランク内圧を低く保つだけでなく、クランク底に落ちてきた回収待ちのオイルもピストンの圧を利用して効果的に回収できるという正に一石二鳥なシステム。

RC213V-Sエンジン

これらによってRC213V-Sは一般的な直四に対し、最大25%もポンピングロスを減らしています。

レスポンスが全然違うと言われているのはこれが大きな理由。ちなみにこれはロッシがブイブイ言わせていたV5時代のRC211Vによって生み出されたMotoGP技術。

お次はフレーム。

フレームの説明は至ってシンプル。

RC213V-Sフレーム

RC213Vとほぼ同じ材質を、同じ職人による手溶接(TIG)で作ったハンドメイド品。つまりRC213Vとほとんど同じ物ということ。

このスイングアーム(品番:52200-MJT-E00)だけでCBR1000RRが買えます。

RC213V-Sスイングアーム

約200万円です。

メインフレーム(品番:50010-MJT-E00)になると更に倍の約400万円です。

そういえばRC213V-Sが出た時には、このハンドルから生えているミラーも話題になりましたね。

RC213V-Sバックミラー

これは結局

「レーサーはカウルからミラーなんて生えていない」

という事からMotoGPで(接触による誤作動防止の為に)装備が義務付けられているレバーガードにミラー機能を持たせる事にしたわけ。

RC213Vレバーガード

MotoGPみたいでカッコ良いからこれだけ取り寄せようとするも・・・

RC213V-Sバックミラー

片方約25万円、両方で50万円という値段に閉口する人達・・・ミラーだけで50万もするなんて誰も思いませんよね。

でも驚く事はまだあります。

RC213V-Sカウリング

スペシャルモデルといえど消耗品は一般的なバイクと同じ。だけどやっぱり値段もスペシャル。

例えばエアフィルター

RC213V-Sエアフィルター

約4万円します・・・ただのフィルターが。

フィルターといえばもう一つ、オイル交換の二回に一回は交換するよう言われているオイルフィルターがありますね。

RC213V-Sは軽量化の為かカートリッジ式ではなくフィルター二層式を採用しています。

RC213V-Sオイルフィルター

2つ合わせて約8万円もする・・・しかもオイルクーラーとエキパイを外さないと交換できない整備性の悪さ。

RC213V-Sオイルエレメント

最後は点火プラグですが約3万円と良心的。

RC213V-S点火プラグ

・・・と思いきやV4なので×4で12万円。

恐らくNGKに作らせた専用のロングリーチレーシングプラグ。

RC213V-S公道

車体価格が桁違いだとランニングコストも桁違いということですね。

215馬力となるスポーツキット150万円がお買い得に思える。※価格はUSホンダより

スポーツキット

少し小話・・・というかやっと本題。

RC213V-SはRC213Vと同じかと言われると

RC213VとRC213V-S

「同じとも、全然違うとも言える」

が正直な所です。

というのも”肝心要の部分”がRC213V-SとRC213Vでは全く違うんです。MotoGPに詳しい方なら何が言いたいのか分かると思います。

RC213V-Sボディ

いい加減長くなりすぎているので巻き気味に説明しますが、違う部分は大きく分けて3つです。

一つ目は

「コイルスプリング式バルブ」

RC213V-Sエンジン透視図

バルブというのはバネの力で戻る(閉じる)構造になっています。これはカムチェーン方式でもカムギア方式でも同じ。

バルブスプリング

ではRC213Vがどういうバルブ駆動をしているのかというと

「ニューマチックバルブ」

というバルブ駆動方式を採用しています。簡単に言うとバネの力で戻すのではなく、気圧(窒素圧)でバルブを戻しているんです。

ニューマチックバルブ

これは回転数を上げていく中で、バルブを戻すバネがカムの速さに追いつけず正常に動作しなくなるバルブサージングという現象が問題となったから。

気圧(窒素圧)なら質量が無いに等しいのでそんな心配は要らない。硬さも自由自在です。

RC213V-Sエンジン

MotoGPでは当たり前の装備・・・でもそれがRC213V-Sには付いていない。

二つ目。

「ドッグクラッチ式ミッション」

RC213V-Sトランスミッション

ドッグクラッチ式というと聞きなれないかと思いますが、要するにRC213V-Sのミッションは普通のバイクと同じ常時噛合式ミッションです。常時噛合式の説明については>>VFR1200Xの系譜をどうぞ

常時噛合式

RC213Vはこれも違います。

RC213Vはシームレス式ミッションを積んでいます。

普通ギアチェンジをする時は、嵌っているドグを抜いて次のドグを嵌め込む。例えば下の図で言うと今は一速が入っている状態。

シームレス式の説明

ここから二速にしようと思ったら、先ず一速のドグ(黄色)を外して、二速(右下)のドグを入れるから

「1→N→2」

となる。

ところがシームレス式は一速のドグが噛んだまま、二速のドグも入れる。

シームレス式

普通のミッションでこれをやるとロックして吹っ飛んでしまうんだけど、シームレス式は先に入っていた方が空回りし始める仕組みになっている。

そうなってから一速側のドグを抜くから

「1→2」

とニュートラルを挟まなくなる。つまり駆動力が一切抜けないというわけ。

2015RC213V

詳しい仕組みは・・・知識不足とブラックボックスな事もあって分かりませんでしたスイマセン。

ちなみにDCTとは違います。シームレス式はMotoGPでDCTが禁止されていた事から生まれた技術です。

最後の三つ目。

「エンジンがセル始動」

RC213V-Sセルスイッチ

RC213Vはタイヤローラーという後輪を強制的に回す機械による押し掛けでしか始動出来ません。

対してRC213V-Sは重いセルモーターを付けてあるのでボタン一つで簡単に始動出来る・・・。

RC213V-Sリア

いやいやオフザケではなく真面目な話ですよ。

RC213V-SがRC213Vと肝心要の部分が違ってしまった理由はここにあるんです。

一つ目のニューマチックバルブは走行毎に窒素を充填しないと動きません。

二つ目のシームレス式ミッションは耐久性に難がある上にウン千万するユニットです。

三つ目のタイヤローラー始動は一人では出来ません。

RC213V-Sフェイス

「こんなのRC213Vのレプリカじゃない」

という声もよく分かります。

でもじゃあセル外して、ガラスのミッション載せて、充填が必要なバルブ駆動にした方が良かったのかというと、そうは思わないでしょう。

HRC RC213V

更に言うなればRC213Vはハンドルの切れ角が僅か15度しかないし、サイドスタンドもイグニッションキーも付いていない。細かい所を言えば他にもあります。

それで公道を走る事が出来るかと言えば絶対に出来ない。

レースに携わる人達が口を揃えて言う事があります。

RC213Vシリーズ

「市販車はレーサーになれないし、レーサーも市販車にはなれない」

SSやレプリカの資料でメーカー問わず何度も見聞しました。

少し前に書いたFZR400RRの開発者もYZRのレプリカを作る意気込みでワークスチームに相談したら、そう言い放たれショックを受けたと言っています。

ホンダRC213V-S

「じゃあRC213V-Sはただのプレミアバイクか」

というとそれは絶対に違います。

これ以上レーサーに近い市販車は存在しません。最もレーサーに近いバイクだからこそ敢えて厳しく現実を言っているんです。

RC213V-Sリアボディ

要するに我々の思うレーサーと本物のレーサーには大きな隔たりがあり、公道仕様にする以上は妥協しないといけない部分が必ず出る。

それはたとえ2190万円もするRC213V-Sとて例外ではないという話です。

RC213V-Sオーダー

「じゃあRC213V-Sは何を再現したのか」

って話ですが、もちろん再現したのはRC213Vです。

肝心要の構造は違う。でもなにも構造を真似る、模する事だけがレプリカではありません。

RC213V-Sへの系譜

「真に速いマシンは誰が乗っても扱いやすい」

これはホンダの、HRCの、RC213Vの考え。

実際RC213Vは拍子抜けするほど乗りやすいとよく言われている。

RC213V-Sが再現したかったのは見た目や構造ではなくこれです。

RC213V-Sコックピット

“真に速いマシンの極致であるRC213Vの操縦フィーリング”

です。

2190万円という高額になってしまったのも、挙げきれないほどの装備や技術も、それを再現する為。

RC213V-Sの壁紙

「操る楽しさ(Fun to Ride)」

この開発コンセプトの意味はそこにあるわけです。

主要諸元
全長/幅/高 2100/790/1120mm
[2100/770/1120mm]
シート高 830mm
車軸距離 1465mm
車体重量 170kg(乾)
[160kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 16.3L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 999cc
最高出力 70ps/6000rpm
{159ps/11000rpm}
[215ps以上/13000rpm]
最高トルク 8.8kg-m/5000rpm
{10.4kg-m/10500rpm}
[12.1kg-m以上/10500rpm]
変速機 常時噛合式6速リターン
タイヤサイズ 前120/70-17
後190/55-17
バッテリー YTX5L-BS
プラグ R0486A-9
推奨オイル
オイル容量
スプロケ 前17|後42
チェーン サイズ520|リンク-
車体価格 21,900,000円(税込)
※{}内は欧州仕様
※[]内はレースKIT装着仕様
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

市民権の象徴 FORZA125 (JF60) -since 2015-

フォルツァ125

「More of everything」

フルスペック125スクーターとして登場したフォルツァシリーズの末っ子FORZA125。

FORZA125は開発設計は日本だけど製造はイタリア。だから日本では並列輸入のみで正規販売されていませんが、2015年の東京モーターショーでは出品されたので覚えている方も多いと思います。

キーレス

・前後ディスクブレーキABS
・6段階可変スクリーン
・フルLEDライト
・ヘルメットが二個入る48L大容量メットイン
・多機能LCD付きメーター
・120/70-15|140/70-14の太いタイヤ
・最高速度160km/h

もうこれ以上ないというほどの装備と性能。

フォルツァ125アクセサリー

プラスαで付けたいアクセサリーといえばグリップヒーターと防水スマホマウントケースくらい。

しかしそのゴージャス路線は留まる所を知らず、2017年モデル(JF69)からは各部の改良に加えキーレスまで装備。

キーレス

もはや125の装備じゃないを通り越してバイクの装備じゃないとも言えるような内容で、残っているのはSマチック(疑似MTモード)とトラコンくらいですね・・・要らない気もしますが。

見た目だけでなくエンジンも凄くて、PCXでも使われているeSPを4バルブ化した事によって、43.5km/L(WMTC値)という低燃費を誇りつつもクラス上限の15馬力を発揮します。

これだけのスペックと装備をしているだけあって車体価格も約5000ユーロ(日本円で65万円)とかなり高め。

フランス

65万もする125なので向こうでも

「高い」とか「これ買うなら300買う」

と言った声も結構ある。しかしそんな中で飛ぶように売れている国があります・・・それはメインターゲットであるフランスです。

FORZA125_fr

ホンダも大成功したと自信満々に言っていたので調べてみました。

バイク情報サイトscooter-station.comによると、フランスにおけるFORZA125(NSS125AD)の2015年度販売台数は9月(発売から5ヶ月)時点で4608台。PCXやX-MAXはもちろん王者TMAXをも抜き去る程のトップセールスで本当に大成功していた。

「何故65万円もする125ccスクーターをフランス人はそんなに買うのか」

という話ですが、一つは自動車の免許を取得し数年すると125cc/15馬力までのバイクに無条件(または簡単な実習)で乗れる容易さにあります。

フランス

日本で小型免許の取得簡略化の話が出てきているのは、排ガス規制や騒音規制と同じようにEU(国連)と足並みを揃えるためでもあるんですよ。

ちなみに緩和に対して”事故が増える”と否定的な意見を見たりしますが、90年中頃に緩和をしたドイツやフランスでも同じような意見がありました。

125cc緩和による事故率

しかしいざ実施してみると増えるどころか減っています。

この理由については後述するとして話を戻すと・・・フランス人がFORZA125を何に使っているかというと、日本と変わらず通勤など日常の足として。

ただ日本と大きく違う点として向こうはオートルート(フランス)やアウトバーン(ドイツ~スイス)等の日本でいうところの高速道路を125でも走ることが出来ます。

オートルートとアウトバーン

つまり向こうの人にとって125ccというのは維持費が安く、渋滞知らずで、高速も乗れるコストパフォーマンス抜群の乗り物というわけ。

でもこれはEEC(EUの道路交通法)に加盟しているEU全体で言えることで、フランスで人気がある事の答えになってませんよね。

フランス

フランスでFORZA125が人気な理由の一つはフランス人の生活、平均走行距離にあります。

ホンダはFORZA125の前にも日本でお馴染みPCXを出していました。日本と同じように欧州でもドッカンドッカン売れたんですが何故かフランスだけ今ひとつ人気が出ず。

何故なのかホンダが調査をしてみると

「長距離が辛そう」

という声が多かった。

更に調べてみるとフランス人は平均走行距離がEU諸国の中でも飛び抜けて高いことが分かった。

パリ

これはフランスが30年連続観光客第一位になるほどの観光大国なのが大きな理由です。

パリ、リヨン、マルセイユ、リール、主要都市が全て人気観光都市な国。そんな観光都市に住むのは大変です。賃貸で貸すよりも観光客に宿として貸した方が儲かるという理由から家賃が非常に高いからです。

パリで1DKを借りようと思ったら20万円/月はします。街外れに行くと安くなるけど、そうすると今度は治安がものすごく悪くなる。

その結果フランスは大きなドーナツ化現象を招いた。遠く離れた郊外から高速を乗って都市部へ長距離通勤する人ばかりになったというわけ。

そしてもう一つ。

観光都市という事で渋滞や歩行者の道路占領が本当に酷い。入るのも出るのも大変。車で移動していたら途方もない時間が掛かる。

シャンゼリゼ通り

だから通勤だけでなく街中の移動も125のスクーターという人が多い。

つまり郊外から都市部までの長距離と、都市部に入ってからの渋滞の両方を熟す必要があるフランス人にとってFORZA125のパワーとサイズはドンピシャというわけ。

でもこれ日本でも当てはまると思いませんか。ドーナツ化現象といい都市部の慢性的な渋滞といい。

しかし日本とフランスでは決定的に違う所があります。それは駐輪場です。

フランスの駐輪場

フランスは駐車場を追い出すほど駐輪場が充実しています。観光と取り合いになる駐車場より駐輪場を見つける方が簡単な程。だから皆125ccのスクーターで移動する。

これは国が渋滞緩和を目的として駐輪場を大量に設けた面もあります。バイク率が増えると一人あたりの道路占有面積が減るので。

駐輪場が無いにも関わらず駐禁取締でスクーター(コミューター)を死滅させてしまった日本とは大違いですね。

駐禁

話を戻すとコレはA2免許取得が必要な126cc~や、高速を走れない50でなく、自動車の付帯で乗れる125じゃないとダメなんです。

フランスの人にとって”125″というのはバイクではなく自動車乗りのツール。正にツール・ド・フラ….すいません。

だから65万円もしようと売れるわけ。

「65万出せるならもっと良いバイクがある」

という話ではないんです。そもそも層が違うから。

しかしこれが126cc以上のバイクに乗るライダーにとっても実に良い方向に働いています。

車乗りの多くが(簡単に乗れる事で)二輪を知るキッカケになったからです。

このおかげでフランスでは

「バイクは社会悪だ」

と目の敵にする人は少なく、その有用性や利便性を認めている”車乗り”が多い。

フランスの道路

日本のように

「バイクなんて禁止にしろ」

と知る機会が無いことから有用性を認めず目の敵にする人が少ない。本当にバイクを禁止にしたら必然的に車が増えるので渋滞がとんでもない事になるのに。

表参道

上で少し話した125cc免許の規制緩和をしたにも関わらず事故が減ったというのも

“車乗りのバイクに対する理解が広がった”

からです。

フォルツァ125リア

日本とフランスで大きく違うのは”車乗りのバイクに対する理解”が進んでいるか遅れているかという事。

でもまだ間に合う。

日本も駐輪場の充実と小型二輪免許の緩和によって、バイクに理解がある車乗りが増えれば、125で通勤する車乗りが増えれば事故も渋滞も減る。

フォルツァ125壁紙

そうやって125への理解が少しづつでも進み、市民権を得ることができれば、FORZA125が発売される日が必ず来る。

主要諸元
全長/幅/高 2140/755/1470mm
シート高 780mm
車軸距離 1470mm
車体重量 159kg(装)
燃料消費率
燃料容量 6.2L
エンジン 水冷4サイクルSOHC単気筒
総排気量 125cc
最高出力 15.0ps/8500rpm
最高トルク 1.28kg-m/8250rpm
変速機 Vマチック
タイヤサイズ 前120/70-15(56P)
後140/70-14(62P)
バッテリー YTZ8V
プラグ SILMAR8C9
推奨オイル ウルトラGP(10W-40)
オイル容量 全容量0.9L
交換時0.8L
フィルター交換時0.8L
スプロケ
チェーン
車体価格
※国内正規販売なしのため
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

アキラバイクという非常識NM4-01/02(RC82) -since 2014-

NM4

「近未来&COOL」

それまでのバイクとは明らかに毛色が違い異彩を放っているNM4/RC82型。

NCシリーズにも採用されている水冷二気筒745ccのDCTエンジンをロー&ロングな新設計専用フレームに搭載したモデル。

2016年からのEURO4規制で仲間がバタバタと倒れゆく中で、DN-01と同じ道を辿りそうな臭いをさせながらも生産終了どころかDCTとマフラーの改良が加えられ存続。

NM4シリーズ

写真左がノーマルのNM4-01で右がNM4-02。

NM4-02は
・ユーティリティーボックス
・グリップヒーター
・ETC
などを標準装備したモデルです。

アメリカでも発売されていますが欧州では『NM4 Vultus』という名前で発売。

NM4Vultus

2017年時点で売っているのはイギリスとスペインぐらい。向こうでは定番のTMAXとよく比べられていました。

デザインテーマは

「フロントマッシブスタイリング&コックピットポジション」

NM4

今となっては懐かしい話ですが、これが発表された当時は凄い反響でした。

「遂に金田(AKIRA)バイクが出た」

NM4

と大きく話題に。

恐らく市販車の中で最も近いんではないでしょうか・・・こう書くと

「ぜんぜん違うだろ」

とファンから怒られそうですが、実際ところ金田バイクは実現不可能です。

夢のバイクを真面目に解説するのも無粋な話ですが

『セラミック製ツインローター両輪駆動』

というトンデモな駆動方式を除いたとしても無理です。

NM4

例えば金田バイクのカッコ良さの大部分のファクターを締めているであろう部分である前に大きく突き出たフロントフォークとフロントタイヤ。

スイングアーム形式かと思いきや一般的なテレスコピック式。見た目だけで言うならトリシティの方が近いですね。

トリシティ

ただ金田バイクほどフロントフォークを寝かせることは不可能です。

フロントフォークの角度(正確にはキャスター角)というのは

「それを見ればそのバイクがどんなバイクか分かる」

と言われるほどバイクにとって重要な部分なんです。

見方としてはフロントホイールの中心(アクスルシャフトの部分)に対し、ステアパイプ角(ハンドルの軸)の線を地面まで引いた時の線の距離をトレール量と言います。

このトレール量というのは直進安定性に直結していて長ければ長いほど速ければ速いほど真っ直ぐ前を向こうとする復元力が強く働きます。

ちなみにこのトレール量というのはホイール径でも大きく変わります(小径だと減り、大径だと増える)。

よくフロントフォークを有り得ないほど前に伸ばしているチョッパー系がありますが、それに反して前輪のホイールが意外と小さかったりするのはホイールでトレール量を調整している面があるから。

しかしこの直進安定性の復元力というのは言い換えると『曲がらなさ』でもあるんです。

上の写真を初めとしたスーパースポーツのキャスター角が立っていてトレール量が短いのはそういう事。

nm4コックピット

以上の点を踏まえて金田バイクを見てみると、非現実的なトレール量を持ったバイクである事が分かるかと思います。

ただ少し調べてみるとNEO-FUKUOKA(現在活動停止)という方が金田バイクのレプリカを造られた事があるようです。

アキラバイククローン

少し調べてみるフロント周りがどうなっているのか調べてみると

『ロッドエンド式ツインステアリングシステム』

というハブステアともボールナットとも違うリンクロッドを噛ませた遠隔操作のような構造。

neo_fukuokaアキラバイク

ただこれ間違いなくトラクションを感じられず怖いです。

というのもバイクはフロントの直線上にハンドルがあるのが基本なんですが、こうすることでフロントからのインフォメーションをライダーは余すことなく感じる事が出来るようになっている。

しかしこれをリンクなどでズラしてしまうとそのインフォメーションが希薄になってしまい、ライダーはフロントがいまどういう状況なのか分からなくなってしまうんですね。

もちろんここまで実現したNEO-FUKUOKAさんの情熱には脱帽ですが

「じゃあNM4はどうなっているのか」

というとNM4もデザインコンセプトの時点で”可能な限りフロントを前に押し出す事”を重視しており、結果としてフォーク角は37°とクルーザーに負けずとも劣らないほど寝ています。

neo_fukuokaアキラバイク

重ねて言いますが寝かせすぎるとトレール量が増え曲がらないバイクになってしまう上に角度が角度なので衝撃吸収と路面追従性というフォーク本来の働きにも悪影響が出る。

じゃあNM4も駄目なのかと思いきやホンダがそんなバイクを出すはずもなくちゃんと考えられています。

フォークは寝かせつつもヘッドパイプの軸を立てる(スラント角をつける)ことでトレール量を減らしているんです。

NM4ディメンション

要するにフロントフォークは大きく寝ていてタイヤは前に出てるんだけど、その分(青線になる)ステアリングパイプを起こしてキャスター角を抑えてるということ。

ただこれも先に話した違和感と同じ様に

「角度差を付けるほどフロントの接地感が希薄になる」

という事から4°が限界と言われているんですが、NM4はその最大角度ギリギリまでフロントフォークを寝かせる事を優先したということですね。

NM4トレール量

これによりNM4はフロントフォークが寝ているにも関わらずトレール量は110mmしかありません。

これは一般的なスポーツネイキッドと同じトレール量。つまりフロントフォークが寝ているからハンドリングはユッタリだけど、トレール量が抑えられてるから決して曲がりにくいなどの扱いにくさはなく自然なハンドリングはキープしている。

オマケとして金田バイクが不可能な理由としてもう一つあげるならフロントホイールのカバー。

アキラバイク

これは絶対に無理です。

フロントホイールを覆ってしまうと走行風が当たらないのでドラムブレーキだろうがディスクブレーキだろうが冷却できず熱ダレを起こして機能しなくなるから。

さらに横風にも弱くなり簡単にハンドルと取られてしまう事や、空力が良すぎる事でハンドルの切り返しが重くなるなどもあります。

一般的な車両のホイールが剣先みたいな形になっているのは、実は風を乱したり切ったりしてハンドル操作をしやすくする役割があるんです。

NM4全色

要するに結論からいうと金田バイクというのは『曲がらず止まらず横風に弱いバイク』で、正に

「ピーキー過ぎてお前には無理だよ」

という事。

金田バイクの話ばかりになってしまいましたが、NM4も全く意識していなかったかといえばそんな事は無いでしょう。

NM4カタログ写真

NM4というのはそんなバイクを知らない人、既存のバイクに興味のない人が求める

「非常識な求めに可能な限り応えた常識的なバイク」

じゃないかと。

主要諸元
全長/幅/高 2380/810/1170mm
シート高 650mm
車軸距離 1645mm
車体重量 245kg(装)
[255kg(装)]
燃料消費率 38.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 11L
エンジン 水冷4サイクルOHC二気筒
総排気量 745cc
最高出力 54ps/6250rpm
最高トルク 6.9kg-m/4750rpm
変速機 電子式6速リターン(DCT)
タイヤサイズ 前120/70-18(59W)
後200/50-17(75W)
バッテリー YTZ14S
プラグ IFR6G-11K
推奨オイル ウルトラG1(10W-30)
オイル容量 全容量4.1L
交換時3.2L
フィルター交換時3.4L(クラッチ含む)
スプロケ 前17|後39
チェーン サイズ520|リンク112
車体価格 925,000円(税別)
[1,075,000円(税別)]
※[]内はNC4-02
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

DUKE250 -since 2015-

duke250

390が出て一年経った頃に急に出てきた次男坊の250。

250が出たって事はDUKE200はお払い箱になるのかな?って思ったらそうじゃなかった。

この250は390をベースに作られたDUKE。対して200は125をベースに作られたDUKE。

10kg軽い200、5馬力高い250と言えばわかりやすいかな・・・いやよく出来てる。

話のネタも無いのでちょっと足回りのお話。

このスモールデュークシリーズが世界で評価され人気が出ている一番の理由は足回りにあります。

WPとBybre

スモールデュークシリーズはWPというメーカーのサスペンションとBybreというブレーキメーカーの物を使用しているわけですが・・・恐らくほとんど皆さん知らないと思います。

まずWPですがBMWにも使われてたりするサスペンションメーカーでKTMのグループ会社になります。本当はホワイトパワーって名前らしいんですけど政治的な問題でWP(ダブリューピー)になったとか何とか・・・日本人には想像が付かない問題ですね。

そしてブレーキの方のByBre(バイブレ)

何か胡散臭い名前だなと思う事なかれ。実はこれブレンボなんです。

ブレンボがアジア向けに作った廉価ブランドで「By Brembo」から取ってByBre。せめて金色に塗ってくれと思いますが、まあ大人の事情ってやつです。

更にABSも有名なBOSCH製の物を使ってたりと足回りには良いもの使ってる。実に欧州らしく、こういうところが評価されているんでしょうね。

デューク

国内メーカーには無いハッチャケ感と足があって(値段がちょっと高い事を除けば)遊びバイクとしては文句なしのレベルなスモールデュークシリーズ。

遊び倒すなら持ってこいです・・・遊び倒すならですよ。多少のトラブルを気にしたら負けです。

最後になりますがスモールDUKEシリーズを買う時は

「絶対に正規代理店またはレッドバロンで買うこと」

これは絶対です。

目先の数万円をケチって先に泣きを見ないためにも必ず守りましょう。

エンジン:水冷4サイクルDOHC単気筒
排気量:248.8cc
最高出力:
31ps/9000rpm
最大トルク:
2.44kg-m/7250rpm
車両重量:139kg(乾)

系譜図
KTMとDUKEについて

KTMについておさらい

デューク125

2011年

DUKE125

デューク200

2012年

DUKE200

デューク390

2014年

DUKE390

デューク250

2015年

DUKE250

【関連車種】
GROMの系譜YZF-R125/MT-125の系譜ST250/グラトラの系譜Ninja250/Z250の系譜

DUKE390 -since 2014-

DUKE390

DUKE125の構造からDUKE200の影を見抜き、見事に当てて満足していたマニア達もこの390は予知できなかった事でしょう。

まあでも無理もない話です。125cc並の車体に誰が400のエンジンを積んで来ると予想できたでしょうか。

デューク390

そんなスモールDUKEシリーズの長男になるDUKE390ですが厳密に言うと排気量は375ccです。何で390なのかといえばKTMが90という数字が好きなだけっていう単純な理由。

そしてこの390は200や250のDUKEに比べてちょっと異質。っていうかかなり異質。

DUKEシリーズのボディは全て共通なんですが、超短いホイールベースもスマートで軽量な車体も小排気量のライトウェイトスポーツだから成せた事。

トラスフレーム

トラスフレームも、というかトラスフレームというのは他のフレームよりも”載せるエンジン有りき”に一から考えて作られるフレームなので流用性が非常に乏しい。それなのに有りきのはずのエンジンを変えちゃったら元も子もない話。

この390を出すにあたって共通である車体の方も見直しが入ったんですけど、それでも375ccのエンジンが収まりきれず、KTMがどうしたかといえば・・・

DUKE390エキゾースト

干渉する部分のエキパイを凹ませるという荒業に出ました。日本メーカーなら絶対にしないような荒業というか力技ですよね。

90って数字を使いたいためか分からないですけど本当は350ccくらいで想定したのを無理矢理+25cc拡大したみたい。

そうまでして積まれたエンジンは375ccで44馬力も発揮するパワフルな物なので足回りも合わせて硬くしてるですけど、もともと上で言った通りとても400クラスの車体じゃない事と軽すぎる事で非常に玄人仕様な出来になってる。

なんか初代ファイヤーブレードであるCBR900RR(SC28)やビューエルのXBシリーズを思い出しますね。軽くてショートホイールベースでパワフルだった事からエキスパート向けでした。

どういうことか分からない人に言うと簡単に吹っ飛ぶと言う事です。

エンジン:水冷4サイクルDOHC単気筒
排気量:375cc
最高出力:
44ps/8500rpm
最大トルク:
3.56kg-m/7250rpm
車両重量:139kg(乾)

系譜図
KTMとDUKEについて

KTMについておさらい

デューク125

2011年
DUKE125

デューク200

2012年
DUKE200

デューク390

2014年
DUKE390

デューク250

2015年
DUKE250

DUKE200 -since 2012-

DUKE200

「絶対出る!絶対出る!問題はいつ出るかだ!」

と言われてたDUKE125の兄貴分にあたるDUKE200ですが出たのは一年後の話でした。

ほぼ125と同じ造りで違うのはエンジンのボア・ストローク比だけ。

欧州では共通のボディで排気量だけ上げたバイクを出す場合は一般人が簡単にボアアップ出来ないようにストロークも変えないと売っちゃいけない法律があるんですね。知りませんでした。

つまり”腰上(シリンダーやピストン)だけ変えてDUKE125をDUKE200に”っていうのが出来ないようになってます。

ずいぶんと厳しい規制ですね。向こうはそういう事をやる人が多いんでしょうか。まあ日本でも4miniのボアアップは結構メジャーですけど。

KTMデューク200

んでこの200ですが125と違って欧州免許を気にしなくていいのでグーンっと上がって26馬力も発生するエンジンとなってます。

それでもほとんどパーツは一緒なので車重は僅か+2kgだけ。

恐らくこのモデルがスモールDUKEシリーズの本命でしょうね。
スモールデュークシリーズとしては三男坊になるけど、軽さとパワーのバランスから言っても一番スモールデュークらしいデュークかと。

エンジン:水冷4サイクルDOHC単気筒
排気量:199.5cc
最高出力:
26ps/10000rpm
最大トルク:
2.0kg-m/8000rpm
車両重量:129kg(乾)

系譜図
KTMとDUKEについて

KTMについておさらい

デューク125

2011年
DUKE125

デューク200

2012年
DUKE200

デューク390

2014年
DUKE390

デューク250

2015年
DUKE250

DUKE125 -since 2011-

DUKE125

スモールDUKEの第一弾として発売されたのが末っ子となるDUKE125

車重が乾燥で127kgしかないという超軽量モタードで、エンジンはモトクロス用に作られた125ccの水冷単気筒の物をベースにしてるだけあってクラストップの15馬力を発揮。

末っ子といいつつ4st125では最速の部類。

本当は15馬力以上出せるんだろうけどEUの免許制度(15馬力まではA1)っていうのを考慮してるんだろうね。まあこれはDUKEに限らずYZF-R125なんかもそうだけど。

デューク125フレーム

フレームはクロモリ鋼管パイプフレーム、そして補強骨をあえてみせるシャレオツ(死後)なアルミ製スイングアーム。

足回りも倒立サスにラジアルマウントキャリパーで125としては必要十八分くらいある。

で、ですね。

実はこのDUKE125が出た時、KTM好きなマニア達の間で非常に話題になったことがあります。

「これ絶対もっと上の排気量のDUKEが控えてるわ!」

って。

というのも先述の通り明らかに125ccだけの為にしてはオーバースペックのような車体。
さらにエンジンスペースや強度の余裕やマウントなどの構造で見抜いたんでしょうね。さすがマニアとしか言いようがありません。まあすぐにアナウンスがあったんですが。

KTMデューク125

そんな125ですが・・・まあ初期型はトラブルの嵐でした。冷却水やフルードといった液体系のお漏らしやジェネレーターのトラブルなどなど。

海外メーカー&処女作&インド生産っていうトリプルコンボなので仕方ないっちゃ仕方ない。

でもABSが付いた現在のモデルからはそういったトラブルが解消したみたいですね。全く心配ないかと言われれば疑問も残りますが、まあ遊びバイクですし。

エンジン:水冷4サイクルDOHC単気筒
排気量:124.7cc
最高出力:
15ps/10500rpm
最大トルク:
1.22kg-m/8000rpm
車両重量:127kg(乾)

系譜図
KTMとDUKEについて

KTMについておさらい

デューク125

2011年
DUKE125

デューク200

2012年
DUKE200

デューク390

2014年
DUKE390

デューク250

2015年
DUKE250

Daytona 675 ABS/R -since 2014-

デイトナ675ABS

675になって初とも言えるフルモデルチェンジを果たした2014型デイトナ675ABS(紛らわしいのでこの名で)

今回のモデルチェンジの最大の目的はコストカット・・・と言うと何だか夢のない話と思われるかもしれないけど車体価格の高騰でSS離れが起こってるのが現状。
これは日本に限った話じゃないんですね。EUの方も日本同様SS離れが酷いらしく、老舗トライアンフもデイトナ675というSSを持ってる以上は他人ごとではない。

あんまり注目されなかったけど、先代も日本国内において為替が幾ら変わろうとも物価が上がろうとも正規物はほとんど値段据え置き状態だった。
我々一般人からしたら何て良心的なメーカーなんだと思うけど、流石にそんなことをずっと続けてたらまた倒産しちゃうよね。

もちろんただ単にコストカットしただけじゃないのであしからず。

675R

・2016年から始まるABSの義務化に対応するために切り替え式のABSを搭載
・サブフレームをパイプフレームからメインフレームに合わせたアルミ製に
・チタンバルブ、デュアルインジェクターの採用
・スリッパークラッチ・クイックシフターの搭載
・軽量5本スポークホイール&ダウンショートマフラー

等など改良や新装備も多岐にわたる。
(でも一番の改良点は先代で頻発してたお漏らしなどの不具合潰しだったり)

デイトナ675Rカウルレス

今回はRモデルも最初からあるみたい。今度はARROWSのマフラーも標準装備みたいですね。

スパイショット等の段階からセンターアップマフラーの不採用が判明して大きく話題になりましたね。これで残るは600RRとR1とF4だけか。

今回のモデルチェンジの最大の目的はコストカットなんだけど、もう一つある。

それはライバルの出現。

アグスタF3

アグスタF3 675(Since 2010)

「走る宝石」と自ら言いのけるメーカーのアグスタから出たミドルSS。奇しくもエンジンはdaytona675と同じ並列三気筒。つまり排気量も同じ675cc。

これまでデイトナと言えば「クラス唯一の三気筒」という優位性を持っていたけど、今回それが失われてしまった。
更に脅威なのはアグスタも価格を抑えるという経営方針の変更をした事。
F3は三気筒でアグスタ入門のミドルだからということで160万円を切る安さ。本当は三気筒のミドルだからって安く作れるワケじゃないんだけど、ブランド価値を下げずに価格を下げるためにアグスタはこう言ってる。
世界レースにおいて初参戦ながらトライアンフよりも好成績を残す大健闘。
更にF3 800というレギュレーション無視の800ccスーパースポーツ、トライアンフの言う「殻を破ったバイク」までも発売。

トライアンフとしては面白いわけはなく、反撃の為のモデルチェンジでもあります。

ミドルSSランキング

見た目がガラッと変わって違うバイクになったと思われるかもしれませんが、スーパーテスト(世界規模インプレ)を見るに相変わらずの高評価なので順当進化みたいですね。

そんな675ABSは本国やUSでは2013年から発売中。しかし日本には騒音規制に通らず入荷したくても出来ない状況でした。

日本もEUやアメリカ並とはいかないものの、それらに次ぐ大型バイク市場を持っている。
だからトライアンフもドゥカティと同じくジャパニーズのための特別仕様を用意し、2014年遂に待望の発売となったわけです。

デイトナ675国内仕様

待望の・・・待・・・え?
あー、ですよね。マフラーそうなっちゃいますよね~。う~ん。

音量測定をするのはエンドバッフルからなのでサイレンサーを同じく騒音を生むエンジンやチェーンからなるべく遠くに離すというのは至極当たり前です。
でも、でもですよ。ドゥカティも(アグスタも)そうだけど「もうちょっと考えてよ!」って言いたくなりますよね。

675ABS

まあ凝ればその分コスト上がるし、バカ売れするならともかくそれほど売れない日本に手間かけないか。

しかしここでHAYABUSAの系譜(国内仕様)で2014年からの規制について読んでくださった方は疑問に思う事でしょう。

「規制緩和されたからハヤブサはOKになったのに、デイトナ675は何で駄目なの?」

と。

実はこの2014年から緩和される規制は「国産車」に限った話なんです。じゃあ「輸入車」はというと三年後の2017年から。
ハヤブサは元々「逆輸入車」だったとは言え製造は日本国内です。つまりラインナップに加えるだけで国産車。

それに対しトライアンフはあの空襲や火事を起こしたイギリスの工場で作ってます。つまり輸入車。

2013daytona675エンジン

日本で作れば万事解決ですが、さすがにそれは無理があるってもんです。

つまり要するに新型デイトナ675が欲しいけどこの日本スペシャル仕様に満足できない人は三年待てという事です。

三年後には恐らく車検が通るUK仕様が入ってくるでしょう。
~2016年型を買ってマフラーをUK仕様の物に変えても車検は通りません。果報は寝て待てです。
こんなこと言うとトライアンフに怒られそうですね。

まあ実際、眠れない人は待たずに買っても何の問題も無いわけですが。

エンジン:水冷4サイクルDOHC3気筒
排気量:675cc
最高出力:
128[125]ps/12500rpm
最大トルク:
7.5[7.3]kg-m/11900rpm
車両重量:185kg(乾)
※[]内は国内仕様

系譜図
タイガーT100Rデイトナ

1967年
Tiger 100T/R Daytona

デイトナ1000

1990年
Daytona 750/1000

デイトナ900

1993年
Daytona 900/1200

デイトナT595

1997年
Daytona T595/955i

デイトナ600

2002年
Daytona 600

デイトナ650

2005年
Daytona 650

デイトナ675前期2006年
Daytona 675/SE(前期)
デイトナ675R後期

2009年
Daytona 675/SE/R(後期)

デイトナ675ABS

2014年
Daytona 675 ABS/R