無冠のレーシングスピリットNR(RC40) -since 1992-

NR

「果てしない夢」

変なバイクとして有名なNR750/RC40(正式名称はNR)

何が変ってピストンが楕円の形をしていてコンロッドが二本付いてること。もちろん世界初です。

NRピストン

一体どうしてこういうことになったのかというと、レースが関係しています。

ホンダは1967年を最後にWGP(現MotoGP)から撤退していたのですが、復帰に向けレーサーを開発するプロジェクト

「New Racing Project」

を入交さん(後のHRC初代社長)指揮で発足し開発に取り掛かったのですが、最初に決めた目標がありました。

それは

「4stで3年以内に勝つこと」

です。

WGP500

当時のレースでは4stと2stもレギュレーションはほぼ同じ【4気筒/500cc】で2stが圧倒的に有利だったため2stの独壇場。そんな状況にも関わらず圧倒的に不利な4stを選んだわけです。

昔からそうですが何故ホンダは異常なまでに4stへ拘るのかというと

・本田宗一郎が4stを好み2stを嫌っていた事

・4stこそ未来につながる技術

というのが主な理由です。

しかし説明した通り2stの倍の行程が必要になる4stはパワーにおいて圧倒的に不利・・・悩みながら運転していてふと目に止まった構造物。

信号機

信号機・・・コレだと閃いたわけです。

「楕円形状による超ショートストロークエンジン&マルチバルブ化」

という閃き。

「2stの倍回るエンジンにすれば2stに勝てる」

という単純明快な答え。

ちなみに決して素人の思いつきではありませんよ。入交さんは東大工学部卒で入社と同時にマン島TTマシンのエンジン開発、さらには28歳の若さでF1マシンのエンジンを設計した正に天才エンジニア。

では信号機で閃いたのかというとスペースの有効活用にあります。

楕円ピストンと真円ピストン

簡単に言うと円を2つ並べた時に出来る無駄なスペースを無くせる事からバルブの有効面積やシリンダー幅の短縮のなどが可能となったわけです。

「単純なビッグボアじゃ駄目だったのか」

と思いますが、ビッグボアにするとバルブの直径も大きくなってしまい質量が増えるので、高速(高回転)で動かす事が出来なくなるし、デッドスペースも大きくなる。

そしてしつこいようですが”正攻法では2stにまず絶対に勝てない”のが当時のWGPです。

試しにシングルの楕円ピストンエンジンを作ってみたら意外とイケる事が判明。これでV4楕円ピストンエンジンの製作が決定。

そして誕生したのが1979年のNR500(0X)というレーサー。シーズン中盤に実験を兼ねてレースへ途中参加。ちなみにこの頃はまだ楕円ピストンということは極秘。

1979NR500

しかしいざ走らせてみると、回転数が(20000RPM以上)回る事によりバルブのサージング(正しく動かなくなる)や、コンロットが2本ある事からわずかの誤差でも捻れが生まれエンジンを破壊してしまう事。カムギアトレーンの減速ギア(リダクションギア)が耐えきれず折れてしまう等など、数々の問題が起こり入賞どころか完走すら難しいレベルだった。

NR500WGP

この事から当時はHY戦争中だった為

「会社の金で遊んでる。」

といった不満・レース不要論の声が社内から溢れてきた。ライバルメーカーに惨敗で成績を残せてないわけですからムリもない話。

100年以上の歴史を誇るレシプロエンジンで

「ピストン(燃焼室)が真円じゃないなんて非常識だ」

と同じエンジニアからも言われる始末。

NR500メンテナンス

NRはその整備性の悪さも非常に有名で、エンジンを降ろさないとオイル交換すらままならないほど遊びの無い作りでした。

しかし4stで2stに勝つにはもうこの道しか無いわけで、何と言われようが開発を推し進め1980年のNR500(2X型)、1981年の(2X改型)と改良を重ね性能を上げていきましたが・・・やはり2stと4stのハンディキャップは大きすぎ、それら改良も虚しく

“鈴鹿200キロの国内レースの一勝のみで世界レースは全敗”

という散々たる結果に。

パワーは出ていたんです。トップスピードはクラス1なほど。でもどうしてもエンジンヘッド(バルブやカム)が必要になる4stでは車重の増加を抑えられなかった。

NR750エンジン断面図

さすがのホンダもNRが敗走する度に

「まず勝つことが重要、2stで勝負すべき」

という意見が強くなっていき、2st版をNRと同じ福井プロジェクトリーダーのグループで並列する形で開発を開始。

最初は

「まだNRでやれることがある」

とチームは反対したのですが、並列する形で何とか納得。

そして出来上がったのがNS500で、NRを追うように1982年から世界レースへ打って出ました。

NS500

そしたらこのNS500は申し分の無い性能どころか圧倒的な速さで15年ぶりの世界レース優勝という栄誉をホンダにもたらし、更に翌1983年には12戦中6勝をあげ世界チャンピオンにまでなりました。

こうなるとNR500は完全に要らない子状態になり、95%の速さまで仕上げたとされる82年型のNR500(3X型)は一度もレースを走ること許されず。

その後NRは最後の望みとなる”市販予定の4st750cc”まで認められていた耐久レース世界選手権へシフトしNR750を開発し1987年のルマン24時間に出走。

NR750耐久レース仕様

予選では真円ピストンのRVF750と僅か0.3差の二位に付ける好タイムを記録したものの、決勝では組み付けミス等により3時間でリタイアという悔やまれる結果に。

これがワークスレーサーNR最後の国際レースとなりました。

歴代NR

市販車であるNR(RC40)はそんなNRプロジェクトの初期段階から決められていた

「フィードバックした市販車を出す」

という方針に基いて作られたバイク。

しかしこのバイクを見たとき多く人が車体価格に驚いたのに対し、レースを知る人たちからも別の意味で驚かれました。

・楕円ピストン

・チタンコンロッド

・アルミツインスパーフレーム

・マグホイール

・プロアーム

・カーボン(CFRP)カウル

NRの技術を詰め込んだレプリカではあるものの、どちらかと言うとデザインを優先した大柄な車体で、どう見てもレースに出るようなホモロゲーションモデル(レースベース車両)の作りじゃなかった。

NRラフデザイン

これは当時バブルで高級車が飛ぶように売れていた事と、VFR750R(RC30)や控えていたRVF(RC45)とバッティングしないようにする為もあります・・・が、理由はともかく

「もうNRではレースしない」

というホンダの答えが鮮明に出ていたんです。

NRエンジン

しかし最後の最後まで不運なことに発売されたと同時にバブルが崩壊し、520万円という車体価格の高さからセールスは苦戦。

限定300台ながら国内に200台ほど余ってしまう自体になりました。恐らく予定だった300台も世に出ていないと思われます。

NRの車載工具

ちなみにこれはNRの車載工具。車載工具までこんなに豪華なんですね。

ちなみにVFR750R/RC30も近い内容で全部揃えると13万円近いですがデットストック。

最後に・・・

NR予約ポスター

NR(RC40)はVFR750Rを始めとした歴代スペシャルバイクの中で、唯一無冠に終わったバイク。

これだけ聞くと明らかにホンダの汚点のように聞こえますね。

NR750カウルレス写真

でも4stで2stに勝つという無謀な選択をし、かつ成功させるため笑われようと煙たがられようと楕円という非常識の可能性を信じ1000回以上のテストや失敗を重ね、あと一歩のところまで仕上げた。

これほどまでに”走る実験室”というホンダレーシングスピリットが色濃く詰まってるバイクはない。

NR750

「名誉はないが誇り(スピリット)はある」

それがNRというバイク。

【余談】

NRの「New Racing Project」は若手技術者だけ構成されたプロジェクト。

VFR750R等の開発に関わった山中さんですら口出し厳禁だったそう。その理由は

「レーシングスピリットを持つ人材の育成」

というこれからのホンダを支える社員を育てる目的があったから。

ここで思い出したのがF1。

MCL32

あまり詳しくないのですがホンダはボコボコにヤラれているようですね。しかもエンジニアは若手が中心とか・・・これ正にNRと同じ状況。

F1への参戦は宣伝でも勝つためでもなく、エンジニア育成の為だと思って暖かく見守ってあげましょう。

【余談2】

レーサーマシンNR500そしてNS500のプロジェクトリーダーを務められた福井さんは後に六代目社長となる方。

そしてそのプロジェクトの最高責任者だった入交さんも、その後にホンダの副社長そしてHRC初代社長にまで上り詰めたわけですが、諸事情ありホンダを退職しSEGAへ副社長として入社。そして制作総指揮を努め生まれた作品がSEGAを代表する作品の一つ「サクラ大戦」だったりします。

入交昭一郎

そしてその実績を買われセガの社長になると、プレイステーションに対抗すべくドリームキャストの開発を指揮。

しかしこれが不振に終わったことで引責辞任されています。

主要諸元
全長/幅/高 2085/890/1090mm
シート高 780mm
車軸距離 1435mm
車体重量 244kg(装)
燃料消費率 20.8km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 17L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 747cc
最高出力 77ps/11500rpm
[125ps/14000rpm]
最高トルク 5.4kg-m/9000rpm
[7.0kg-m/11500rpm]
変速機 常時噛合式六速リターン
タイヤサイズ 前130/70-16
後180/55-17
バッテリー FTX12-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
ER9EH
推奨オイル
オイル容量 全容量4.7L
交換時3.6L
フィルター交換時3.9L
スプロケ 前16|後40
チェーン サイズ525|リンク108
車体価格 5,200,000円(税別)
※[]内は海外仕様
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

タブーを犯したターボ 750turbo (ZX750E) -since 1984-

750ターボ

「Like a Fire Engine」

750turboは簡単に言うとザッパーことZ650系譜のZ750FX(KZ750E)のエンジンをターボ化してGPz1100に積んだようなバイク。

でも何故かGPzとは付かない。上の写真のカバーを見れば分かるようにGPzの文字が入ってるのにね。

750turboは

・最高性能かつ扱い易いこと

・レースに耐えうる特性をもつこと

・ターボシステムは極力簡素化すること

・整備性と信頼性を確保すること

という嘘じゃないのかと思えるコンセプトで作られました。

ご存知の方も多いと思いますが一番最初にターボバイクを出したのはホンダで1981年のCX500/650TURBO。

CX500TC

IHIが作った世界最小のターボを積んでいます。

そんなCX500の翌年にヤマハが追いかけるように出したのが三菱重工のターボを採用したXJ650turbo。

XJ650ターボ

ホンダと喧嘩(HY戦争)中だったヤマハとしては”目には目を歯には歯を”だったんでしょうが、同じ所のを使うのはプライドが許さなかったんでしょうね。いやまあコレはこれで世界初のキャブターボなんですが。

一方でホンダと同じくIHIのターボを積んだスズキのXN85TURBOも同年発売。

XN85

85という名前から850ccと思いきや673cc。85というのは85馬力から来ています。紛らわしいですね。

そしてこのページの主役であるカワサキの750turboはというと、まだ誠心誠意製作中でプロトタイプを1981~82年のモーターショーで発表するまでに留まっていました。

750ターボプロトタイプ

プロトタイプの顔はすごく野暮ったいですね。

出遅れていたカワサキですが、実は1978年と何処よりも早い段階から(非公式ながら)アメリカでターボ車を売っていたのをご存知でしょうか。

それはZ1Rベースでその名もZ1R-TCというバイク。

Z1Rターボチャージャー

これはアメリカのサードパーティ製のターボチャージャーを積んだチューニングバイクなんですが、手掛けたのは元カワサキ社員でカリフォルニアのカワサキディーラーで発売されていたようです。

しかし州が危険と判断し、後付過給を付けたバイクの販売を禁止したため78~79年の二年間しか発売されませんでした。250台/年で計500台ほど売れたようです。

750ターボメーターまわり

話を750turboに戻すと・・・CX/XJ/XN/750と僅か数年でターボモデルが相次いで出たのは、自動車メーカーが上位モデルにターボを積むようになった事で

「ターボ=高性能の証」

という認識が広まり、世界中でターボブームが起きていた。そこでバイクもターボブームの波に乗れとなったわけですね。

でもバイクの場合もう一つ理由があります。

CX500/650(498cc/673cc)
XJ650(653cc)
XN85(673cc)

皆さんコレ見て

「中途半端な排気量だな」

って思いませんか。実はこれアメリカが関係しています。

この頃アメリカでは海外メーカーのバイク(特に日本車)が90%近いシェアを誇っており、唯一の自国メーカーだったハーレーのシェアが10%を切るまでに落ちていた。そこで当時のアメリカ大統領だったレーガンが1982年に

大型バイク関税

「5年間700cc以上の輸入バイクの関税を4%から45%に上げる」

という完全な輸入車潰し政策を打ち出してきたわけです。

これをキッカケにハーレーは大復活を遂げましたが、代償として多くの海外バイクメーカーが消えました。

あのBMWですら会社が傾き、トライアンフに至っては耐えきれずに倒れました。幸い実業家に拾われ九死に一生、これが現在のトライアンフです。

つまり実質的に700cc以上のバイクは売れないに等しい状況の中で700cc以上のパワーを出すためにターボを積んだ・・・という面もあるんです。

トランプさんが同じような事を再びしようとしている事から向こうではレーガンの再来とか言われています。

となるとおかしいですよね。750turboは738ccと完全に排気量をオーバーしてる。

750ターボプロトタイプ

どうしたのかなと思って調べてみると、どうも750turboの一部はアメリカのネブラスカ州にある工場で組み立てられていたようです。部品を送って向こうで作ることで関税を回避したんですね。

ライバルメーカーより車体価格が高かったのはこういう理由もあったからなんでしょう。

さてそんな750turboですが、タブーに近い事をやっています。

750ターボエンジン

それはいわゆる”ドッカンターボ”な特性にしたこと。

いきなりドカンとターボ(トルク)が効くと危ないのは説明しなくても分かると思います。コーナリングの途中とかだったら絶対コケますよね。

同じ時代、同じターボ車ということで一纏めにして語られる事が多いですが、この750turboだけはちょっと別格というか斜め上なターボです。

バイクはターボが無いに等しいので知らない人の為にもターボの簡単な説明。

ターボの仕組み

汚く分かり難い絵で申し訳ないですが、要するに排気ガス(茶色)の力でタービンというプロペラを回し、反対側に付いてる吸気(コンプレッサー側)のプロペラを共回りさせ空気(青色)を圧縮しているわけです。

そうすることで本来なら1000ccしか吸えないハズのエンジンが(1000ccにまで圧縮された)1500cc分の空気を吸える。1500cc分の空気が吸えるという事は、1500cc分の燃料を吹いて燃焼させる事が出来る。だからターボは自然吸気のエンジンよりパワーが出る。

ただ流れを見てもらうと分かる通り、排気ガスが動力だから最初からターボが効くわけじゃない。

アクセルを開けて排気ガスを出す

ある程度の排気(流速)が出ると排気側のタービンが回り始める

対になった吸気側のタービン(コンプレッサー)も回り空気を圧縮する

圧縮された空気がエンジンに入る

過給で一クラス上のトルクを生む

と結構なステップがある。排気という最後のステップで吸気という最初のステップをアシストするわけだからターボの反応はエンジン回転数に少し遅れて反応する。

これがターボラグといわれているターボのネガな部分。他にノッキングなどの問題もあります。

ターボの仕組み

ちなみにこれが750turboに付いている日立製のHT10-Bというターボチャージャー。右下の長い棒はアクチュエーターといって丸い壁のような敷居(ウェイストゲートバルブ)の開閉をし、排気ガスをタービンに当てるか当てないかを負圧で切り替えるユニット。

タービンが許容回転数以上にならないように(壊れないように)コントロールするストッパー的な物です。

じゃあ「ドッカンターボ」と「ドッカンじゃないターボ」はどうやって決まるのかというと、タービンサイズで大方決まる。

H2のペラ

タービンが大きいほど1回転辺りの仕事量が上がるので、回り始めるとガンガン圧縮して馬力がグングン伸びる。その代わり簡単には回らないので低回転時の弱い排気ではターボが全く効かないからドッカンターボになる。

逆に小さければ小さいほど弱い排気ガスでも簡単に回るのでターボが効くからスムーズ。そのかわり仕事量はそれなりだし、回転数が上がっていくと排気を邪魔する足枷になるので馬力を出せない。

ZX750E

CX500Turbo:82ps/8000rpm

XJ650Turbo:90ps/5~8000rpm

XN85Turbo:85ps/7500rpm

750turbo:112ps/9000rpm

こうやって並べてみると明らかに750turboだけが頭一つ抜きん出た馬力を持っているのが分かると思います。

ライバルが皆ターボのメリットよりもデメリットを考慮しバイクに合った小さいターボを採用したのに対し、カワサキはターボのメリットを伸ばすために大きいターボを採用したということ。 聞こえは良いですが普通はありえないです。

750ターボカタログ

750Turboに対する評価は基本的にどの国もほぼ変わらない。

“最もターボを味わえ、最もターボの危うさ味わえるバイク”

正直このバイクはお世辞にも褒められたバイクでは無い・・・なのに今でも世界中で根強い知名度と人気を誇ってる。

750ターボ北米カタログ

それは結局750Turboが皆がイメージする”TURBO”を理屈抜きで実現させたバイクだからでしょう。

※ターボについては「バイク豆知識:夢のダウンサイジングターボ」もどうぞ。

主要諸元
全長/幅/高 2220/740/1260mm
シート高 780mm
車軸距離 1490mm
車体重量 233kg(乾)
燃料消費率
燃料容量 17.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 738cc
最高出力 112ps/9000rpm
最高トルク 10.1kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前110/90V18
後130/80V18
バッテリー SYB14L-A2
プラグ BR9EV
推奨オイル カワサキ純正オイル
または
MA適合品SAE10W-40から20W-50
オイル容量 全容量3.5L
スプロケ 前15|後46
チェーン サイズ630|リンク98
車体価格
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

SUZUKIのZUZUKI GAG (LA41A) -since 1986-

GAG

「遊び心をフルカウル」

400ccの59馬力規制を生むキッカケとなったGSX-R(400)やナナハンの常識を破ったGSX-R750にそっくりな外見の初フルカウル原付ことGAG。ツインスパー風スチールバックボーンフレームにビジネスバイクであるバーディの横型エンジンを積んでます。

このバイクは知ってる人も多いと思います。ちなみに海外ではRB50やGSX-R50という名前で売られていました。

solifer-r

その中でも一番違うのはフィンランドで

「Solifer R」

という全く違う車名なのに加え2st縦型エンジンを搭載。ただしお国の関係でわずか1.5馬力と、ただでさえ遅い事に定評のある4stのGAG(5.2馬力)をも凌ぐ遅さです。

話を日本の4stGAGに戻すと・・・

アメージングマシンGAG

「見た目はバッチリレプリカだけど中身は至って普通の原付」

っていう車名からも分かる通り”おふざけバイク”なんだけど、その中でもGAGはフルカウルでディスクブレーキやモノサスなど原付にしてはそれなりの装備をしていた”少し行き過ぎたおふざけバイク”でした。

更に行き過ぎていたのは走行性能に関する部品だけでなく、ウィンカーはGSX-Rのものそのままとか。

ギャグ構造

他にはシートカウルに付いてるこれまたGSX-Rと同じ”SACS”のシールなんだけど、これは正式にはSuzuki Advanced Cooling Systemの略で要するに油冷という意味。

しかしGAG(というかバーディ)のエンジンは空冷だから本当ならSACSじゃない。

「GSX-Rパロのギャグなんだから別に良いじゃん」

と思うんだけど実はこれも徹底していて、同じSACSの略なんだけどGAGの場合Suzuki Advanced “Comical” Systemと書いてる・・・スズキ高度喜劇システム。

RB50

そんな清々しいおふざけバイクなGAGの最大のターゲットはお金のない学生や若者。エンジンが耐久性のある4stバーディの物だったり7Lも入るタンク容量だったりするのはそのため。

実際のところ出た時は憧れのGSX-Rやガンマのようだと若者に売れました。しかしそれ以上にウケたのが既にバイクに熱中していたオッサン達。それは上で言った通り原付としては中々の装備をしていたから。

今にして思うとこれが幸か不幸かGAGが二年足らずで終わってしまった事の始まり。GAGは本来の狙いとは違う道へ進んでいったわけですが、その向きを決定づけたのはヨシムラやタケガワといったチューニングメーカーがGAG向けに多くのチューニングパーツを出したこと。ヨシムラに至ってはコンプリートマシンまで出す始末。

若者の足として生まれたGAGによるワンメイクレースが開催されるほどの異常な盛り上がりに。ギャグが通じない人たちのオモチャになったわけです。

マニュアル

ナンバーが取れて公道を走れるポケバイみたいなものだから人気が出るのも分かるけどね。

ただ覚えておいて欲しいのはそんなミニレーサーレプリカというジャンルであり需要を開拓したのはGAGということ。

需要のある新ジャンルというのは・・・当然ライバルが出てきます。好事魔多しですね。

同年末にヤマハからYSR50/80というGAGと同じおふざけバイクが出ました。GAGと同じようにふざけているわけですが、コチラは7馬力を発揮する2stエンジンに加え12インチホイール。走行性能はGAGよりも優れていました。

YSR50/80

これだけならまだ良かった。

問題は翌1987年に出たNSR50/80です。レーサーマシンNSR500をそのままサイズダウンしたといわれる本当のミニレーサーレプリカ。

NSR50

最高速は勿論のこと、足回りやフレームまでもしっかり作り込まれておりコーナリング性能も頭一つ飛び抜けていた名車で何一つふざけてないミニレーサーレプリカ。

こうなると誰もがNSRを買うのは当たり前の事で、それでもヤマハはYSRや晩年にはTZM50Rで徹底抗戦した一方、スズキのGAGは僅か2年でカタログ落ちし後継が出ることもなく終わりました。それでも3万台ほど売れたみたいだけどね。

GSX-R400の系譜でも書きましたが、この流れはGAGだけじゃないんです。250ガンマと全く一緒。

RG250

2st250ccレーサーレプリカとしてRG250Γが出てヒットしたと思えば

NSR250|TZR250

後からやってきたヤマハに追い抜かれ、最後はホンダが全部持っていった。

他にも

GSX-R

GSX-Rという4st400レーサーレプリカという新しいジャンルで出してヒットしたかと思えば

CBR400RR|FZR400|ZXR400

やっぱりホンダとヤマハ、そしてカワサキまでにも追いかけられ抜かれていった。

誰だってどんなクラスだって同クラスのバイクなら速い方が良いに決まってるのは世の常で、後出しジャンケンが有利なのは仕方ない事。

しかし少しスズキに対して疑問・・・それは

「どうしてスズキはやり返さないのか?対抗しないのか?」

です。

世界的レースになったGSX-R1000やGSX-R600といった世界レースの競技車の役目も担うバイクにおいては全力で戦う一方、関係のない完全な市販車でライバルが現れても何一つ抗わない。250ガンマは最後の最後でモデルチェンジしましたが既に競争が終わったあとの事。

最近の有名所でいえばスズキを代表するバイクであるハヤブサ。

HAYABUSA1300

ロングモデルライフということもあり販売台数が落ちてきたにも関わらず一向にモデルチェンジしない。

いま熱い250ccでもそう。

GSR250F

GSR250やGSX250Rというバイクをスズキは売ってるわけですが、CBR250R/RR|YZF-R25|Ninja250/SLといったライバルメーカーの250とは立ち位置が少し違う。

更に言うなれば原付二種も。

アドレスV125

アドレスV125という原付一種サイズでしかも速い二種という他にはない原二で成功したものの、125が活気づきPCXやNMAXといったアドレスより高くて速くて低燃費の125が現れても対抗せず、アドレス110というちょっと下のスクーターを出しただけでV125は大きく手を加えること無く生産終了。

この対抗しない事についてスズキの人がなにか言うわけもなく・・・ただそのヒントになるんではなかろうかと思う事があります。それは会長である鈴木修会長がHY戦争の取材に対し言われた教訓のようなこと。

「業界1位と業界2位(ホンダとヤマハ)が喧嘩したら3位以下は木っ端みじんに吹き飛ぶ」

ホンダとヤマハのHY戦争という喧嘩に巻き込まれてしまったスズキは二輪撤退も検討されるほど減産&赤字に陥りました。

鈴木修会長はスズキがどういう立ち位置なのか、どう立ち回ればいいかを一番良くわかっている方。続けてこうも言われていました。

「実力を客観的に見極める冷静さが必要」

と。

ホンダとヤマハ

スズキよりも開発や販売網などに大きなアドバンテージのあるホンダやヤマハと真正面からぶつかって無傷で済むハズはない。いい勝負が出来たとしても消耗戦となり、そうなったときに一番ダメージを受けるのはスズキ。

じゃあどうするかと言えば他所には無いバイクを作ること。

実際HY戦争以降のスズキを代表する大ヒット車といえば
説明不要なケルンの衝撃カタナ
レーサーを公道に持ち込んだレーサーレプリカの始まりであるガンマ
大型ライトウェイトスポーツの元祖GSX-R750
初めて時速300/kmの壁を超えたアルティメットスポーツHAYABUSA

どれもオリジナリティ溢れる初尽くしなバイクばかり・・・ただネタにもされるようにオリジナリティがあろうがなかろうが売れて認めらなくてはならない。上に紹介した認められたオリジナリティ溢れる名車がある一方で認められなかったオリジナリティ溢れるバイクも多く出してきました。

今で言えばGSR400やグラディウス400なんかがそうですね。何故存続できているのか分からないほど売れてません。

実はサイトに対する問い合わせでHY戦争の最前線におられた某メーカー系代理店の元社員さんから(ありがたいことに)感想をいただいた時に教えていただいたのですが

そこでは当時SUZUKIの事を”ZUZUKI”と言っていたそうです。※あくまでも当時の話

ズズキ

由来は頭突きです。なんで頭突きかといえば

「基本的に自爆するけど極稀にクリーンヒットさせてくるから」

だそうです。

いわゆる業界隠語で今は使われていないと思いますが、これを聞いた時(良い意味で)非常によくスズキの事を表していると思いました。上記車種もそうですし、このページで紹介しているGAGもそう。他社から追っかけれる程のクリーンヒット。

ギャグ

最近はモデル整理が課題だった事もあり頭突きの回数が減りクリーンヒットが少ない印象ですが、頭突きを止める事はないでしょう。

「スズキはセールスマーケティングが下手」

とよく言われますがそれは情勢やライバルを見るのではなく、どうすれば頭突きをクリーンヒットさせられるかを考えて作っているからかも知れませんね。

主要諸元
全長/幅/高 1540/610/870mm
シート高 610mm
車軸距離 1080mm
車体重量 64kg(乾)
燃料消費率 121.0km/L
※定地走行テスト値
燃料容量 7.0L
エンジン 空冷4サイクルOHC単気筒
総排気量 49cc
最高出力 5.2ps/7000rpm
最高トルク 0.57kg-m/6000rpm
変速機 常時噛合式4速リターン
タイヤサイズ 前後3.50-10-2PR
バッテリー 6N4-2A
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
C6HSA
推奨オイル スズキ純正
エクスター
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量0.8L
スプロケ 前14|後37
チェーン サイズ420|リンク100
車体価格 183,000円(税別)
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

悪いのは人か技術か GTS1000/A (4BH/4FE) -since 1993-

GTS1000

「Ride into the future.」

ヤマハが1993年に出したGTS1000/4BHとABS仕様のGTS1000A/4FE型。

当時フラッグシップだったFZR1000をベースにEFI(電子制御燃料噴射装置)と日本車として初となる三元触媒を採用した欧州向けのヨーロピアンツアラーです。

GTS1000オプション

これは欧州市場でロングツーリングまで何でも熟せる一台が求められていた事と、環境破壊が問題視されていた事を鑑みて造られた背景があります。

そんなGTS1000最大の特徴は何と言ってもリアだけでなくフロントもスイングアーム方式を採用していること。

デザインスケッチ

『ニューフロントサスペンション』

というのが公式名なんですが・・・コレの狙いについて怒られそうなくらい簡略化して長々と。

我々がよく知るフロントサスペンションは望遠鏡の様に伸び縮みするテレスコピック方式と呼ばれるもので

「サスペンションがステアリングも兼ねている」

というのが特徴です。

GTS

しかしこれには少しいただけない問題がある。

サスペンションがステアリングを兼ねているという事は

「サスペンションの動きがそのままステアリングにも影響する」

という事でもあるからです。

分かりやすいのはノーズダイブというフロントブレーキを強く握ると前のめりになってしまう現象。あれはフロントフォークが縮むから起こる現象なんですが、それが起こるとステアリング(キャスター角)が立ってしまう。

キャスター角というのはザックリ言うとフロントフォークの角度で、これが直進安定性に大きく関係しています。

寝ているほど(トレール量が大きくなり)直進安定性が増すし、反対に立っていると安定しない。だからクルーザーなんかは寝かせ気味な一方で、スーパースポーツなどは直進安定性がコーナリングの邪魔をしないよう立ってる場合が多い。

キャスター角とトレール

問題になるのはサスペンションの動き(ノーズダイブなど)でこの要素が大きく変わってしまうという事。急ブレーキをかけるとハンドルが左右に切れ込んで転倒してしまうのもこのキャスター角(トレール量)の急減によるものが大きいんです。もちろんホイールベースも。

GTS

対してスイングアーム式というのはどんなに強くブレーキをかけてもそれらの変化がほとんど起こらない。なぜならステアリングとサスペンションが分離されているから。

テレスコとスイングアーム

どれだけブレーキをかけようがドッタンバッタンしようが車体のディメンションは大きく変わらないんです。

それをよく現してるのがオメガシェープドフレーム(別名 オメガクレードル)と呼ばれる独特な形をしたフレーム。

オメガフレーム

メインフレームが下側だけでハンドルまで繋がっていないのが分かると思います。

これはテレスコピックがトップブリッジ(フロントフォークの一番上)で荷重を受けるのに対して、スイングアーム式はピボット(フレームの下側)部分だけだから。分かりやすく言うとフロントもリアと同じ様になっているということ。

オメガフレーム

「じゃあどうやってハンドル切るの」

という話なんですが、ビモータのテージなど一般的な前後スイングアーム式のバイクはセンターハブステアリングなんですがGTS1000は違います。

GTS1000のステアリングはユニバーサルジョイントとボールベアリングを用いたボールナット式です。

GTS1000ステアリング

早い話が一昔前の四輪に使われていた方式。

サスペンションとステアリングが分離しててステアリングはボールナット式・・・つまり四輪から取ってきて90度回して付けている形なんですね。

そんなGTS1000なんですが一代限りで終わってしまった事からも分かる通り、市場評価はお世辞にも賛美で溢れてたものではありませんでした。本当に鳴り物入りだったんですけどね。

始まりは1986年アメリカのサスペンションメーカーRADDがFZ750のエンジンをベースにフロントをスイングアームにしたMC2というモデル。

RADD MC2

ヤマハの出資で開発されたGTS1000プロトタイプと言えるモデルです。

そこから3年後の1989年東京モーターショーにMorpho(モルフォ)というコンセプトモデルを展示。

コンセプトモデルモルフォ

それはそれは注目の的で翌年の1990年にはMorpho2に発展。覚えている人も多いのではないでしょうか。

モルフォ2

そして1993年にGTS1000/Aとして市販化された。

絵空事だと言われていたショーモデルが本当に市販化された瞬間だったわけですが、それにも関わらず評判はそれほど良くなかった・・・何故か。

GTS1000カタログ写真

「テレスコピックじゃなかったから」

です・・・なんだか矛盾しているように聞こえますよね。

「テレスコピックじゃなかったら反響が良かったんだろ」

って。でもこれが受け入れられなかった。

スイングアーム式はハンドルの切れ角を稼げない事を除けばテレスコピック式より優秀とも言われています。

サスペンションの動きにディメンションは影響されないし、フレームの下の方で受け止めるからステア周りの剛性も要らずフレームやエンジンの自由度も高い。

でもそれがダメだった。

『あまりにも優れている構造』

だったからダメだったんです。

4FE

スイングアーム式はこのライトアップされている下部ですべて受け止め抑え込んでくれます。

それが運転するライダーに何をもたらすか

『接地感の希薄さ』

をもたらすんです。キャスター角が変わらないのはもちろんのこと

・ロードノイズ
・フレームの捻じれ
・サスペンションのキックバック

などなどテレスコピックだとライダーにまで伝わってくるものが、全てライダーのはるか下部で完結してしまい伝わってこない。

四輪のフロントタイヤがバイクほど正確に感じ取れないのと一緒です。箸で例えると分かりやすいかもしれないですね。

接地感の差

一般的な箸とリンクを介して手に直接的な荷重が掛からないように突き出ている箸、どっちが箸先を正確に感じやすいか一目瞭然だと思います。

スイングアーム式にもこれが当てはまり、乗り手を不安にさせるんです。人によっては平衡感覚を失う事もある。バランスを取らないといけないバイクにとってこれは致命的。

ちなみに昔、GTS1000オーナーの方から

「いやそんなに乗り辛くないよ」

っていう声を頂いた事があります。

それもそのはず実はGTS1000はピボットに差異を付けストロークに応じてキャスター角が変化する意図的な設計をしているんです。

理由はもちろん

『テレスコピックに近い挙動』

になるようにです。

他にも130/60というワイドタイヤをフロントに履かせる事で接地感を増すなどの創意工夫がされていました。

GTS1000Aカタログ写真

ただそこまでしてもテレスコピック並の接地感を得ることは出来ず

「ふわふわしてる」

「丸太に乗ってるよう」

「何も応答がない」

「フロントが信用できない」

というインプレが多々聞かれ、次世代を担うフロントサスペンションだと認められる事はなかったんです。

GTS1000はショーモデルで拍手喝采を浴びるフロントスイングアームの理想とその現実をまざまざと見せつけたモデルじゃないかなと思います。

カタログ写真

でもこの問題の原因って何処にあるんでしょうね。

接地感を希薄にしてしまうスイングアーム式という構造が悪いんでしょうか、それともテレスコピックじゃないと感じ取れない人間の感性が悪いんでしょうか。

主要諸元
全長/幅/高 2165/700/1255~1320mm
シート高 795mm
車軸距離 1495mm
車体重量 246kg(乾)
[251kg(乾)]
燃料消費率
燃料容量 20.0L
エンジン 水冷4サイクルDOHC4気筒
総排気量 1002cc
最高出力 100.6ps/9000rpm
最高トルク 10.8kg-m/6500rpm
変速機 常時噛合式5速リターン
タイヤサイズ 前130/60ZR17
後170/60ZR17
バッテリー YTX14-BS
プラグ
※2つの場合は手前が、3つの場合は中央が標準熱価
DPR8EA/DPR7EA
または
X24EPR-U9/X22EPR-U9
推奨オイル SAE 10W/30~20W/40
オイル容量
※ゲージ確認を忘れずに
全容量3.2L
交換時2.5L
フィルター交換時2.7L
スプロケ 前17|後47
チェーン サイズ532|リンク118
車体価格
※[]内はABS仕様
系譜の外側
DN-01

拒絶された渾身のATスポーツクルーザー
DN-01
(RC55)

gts1000

悪いのは人か技術か
GTS1000/A
(4BH/4FE)

750カタナ

カタナと名乗れなかったカタナ
GSX750S
(GS75X)

ザンザス

Zの亡霊と戦ったZ
XANTHUS
(ZR400D)

CBX400カスタム

30年経ってCBXと認められたアメリカン
CBX400CUSTOM
(NC11)

BT1100

イタリア魂が生んだもう一つのMT
BT1100 BULLDOG
(5JN)

GSX1300BK

本当の怪物は誰も求めていなかった
GSX1300BK B-KING
(GX71A)

ZR750F/H

死せるザッパー生ける仲間を走らす
ZR-7/S
(ZR750F/H)

ホンダCBX1000

大きすぎた赤い夢
CBX1000
(CB1/SC03/06)

GX750/XS750

ブランドは1台にしてならず
GX750
(1J7)

スズキGAG

SUZUKIのZUZUKI
GAG
(LA41A)

Z1300

独走のレジェンダリー6
Z1300/KZ1300
(KZ1300A/B/ZG1300A)

NM-4

アキラバイクという非常識
NM4-01/02
(RC82)

FZX750

大きな親切 大きなお世話
FZX750
(2AK/3XF)

GSX1400

踏みにじられたプライド
GSX1400
(GY71A)

750Turbo

タブーを犯したターボ
750Turbo
(ZX750E)

NR750

無冠のレーシングスピリット
NR
(RC40)

TRX850

現代パラツインスポーツのパイオニア
TRX850
(4NX)

GS1200SS

嘲笑される伝説
GS1200SS
(GV78A)

ゼファー1100

ZEPHYRがZEPHYRに
ZEPHYR1100/RS
(ZR1100A/B)

NS400R

狂った時代が生んだ不幸
NS400R
(NC19)

RZV500R

手負いの獅子の恐ろしさ
RZV500R
(51X/1GG)

RG500Γ

チャンピオンの重み
RG500/400Γ
(HM31A~B/HK31A)

AV50

なぜなにカワサキ
AV50
(AV050A)

ドリーム50

五十路の夢
DREAM50
(AC15)

フォーゲル

楽し危なし
POCKE/VOGEL
(4U1/7)

ストリートマジック

シンデレラスクーター
TR-50/TR-110
(CA1L/CF12)

Z750ツイン

鼓動と振動
Z750TWIN
(KZ750B)

フォルツァ125

市民権の象徴
FORZA125
(JF60)

SRX4/6

決して多くない人たちへ
SRX-6/SRX-4
(1JK/1JL~)

DR-Z400SM

最初で最後のフルスペック
DR-Z400S/SM
(SK43A/SK44A)

ZX-7R/RR

問題児レーサー
ZX-7R/RR
(ZX750P/N)

RC213V-S

2190万円の妥協と志向
RC213V-S
(SC75)

YZF-R7

7と1でWE/R1
YZF-R7
(5FL)

バーグマンFCS

エコの裏で蠢くエゴ
BURGMAN FCS
(DR11A)

エリミネーター750/900

名は体を現す
ELIMINATOR750/900
(ZL750A/ZL900A)

モトコンポ

こう見えて宗一郎のお墨付き
MOTOCOMPO
(AB12)

TDR250

聖地突貫ダブルレプリカ
TDR250
(2YK)

グース

決めつけられたシングルの正解
Goose250/350
(NJ46A/NK42A)

Z650

小さく見えるか大きく見えるか
Z650
(KZ650B)

X4

単気筒
X4
(SC38)

SDR200

軽く見られた軽いやつ
SDR
(2TV)

チョイノリ

59,800円に込められた思い
choinori
(CZ41A)

ゼファー750

復刻ではなく集大成
ZEPHYR750/RS
(ZR750C/D)

PS250

モトラリピート
PS250
(MF09)

DT-1

冒険という感動創造
トレール250DT1
(214/233)

Vストローム250

二度ある事は三度ある
V-STROM250
(DS11A)

エリミネーター250

周期再び
ELIMINATOR250/SE/LX
(EL250B/A/C)

CX500ターボ

打倒2ストのブースト
CX500/650TURBO
(PC03/RC16)

YA-1

原点進行形
YAMAHA125
(YA-1)

rf400r

RでもFでもない
RF400R/RV
(GK78A)

250-A1

半世紀を迎えた吉凶のライムグリーン
250-A1/SAMURAI

Vツインマグナ

氷河期 of Liberty
V-TWIN MAGNA(MC29)

TDR50

RALLYってしまった原付
TDR50/80(3FY/3GA)

SW-1

オシャレは我慢
SW-1(NJ45A)

ボイジャー1200

可愛い娘は旅をせよ
Voyger XII
(ZG1200A/B)

WING

Twist and Shaft
WING
(GL400/GL500)

ビーノ

その愛嬌は天然か計算か
VINO
(SA10J/SA26J/SA37J/SA54J/AY02)

DRビッグ

爪痕を残し飛び去った怪鳥
DR750S/DR800S
(SK43A/SR43A)

テンガイ

愛おぼえていますか
Tengai
(KL650B)

CB92

雪辱のSSその名はシービー
CB92

XT400E

本当の名前は
ARTESIA
(4DW)

ジェベル250

ツールドジェベル
DJEBEL250/XC/GPS
(SJ44A/SJ45A)

KV75

混ぜるなキケン
75MT/KV75
(KV075A)

ダックス

泥遊びなら任せろ
DAX
(ST50/ST70/AB26)

ランツァ

単槍匹馬のラストDT
LANZA
(4TP)

GT750

水牛であり闘牛である
GT750
(GT750J~N)

スーパースポーツ系

スーパースポーツとは

色んなメーカーが同じ土俵で競い合ってる数少ないジャンルがスーパースポーツ。

【特徴】

250cc/600cc/1000ccなど量販車レースに沿った排気量で明確に分かれておりバチバチなクラス。

基本的にサーキット走行を考えられたジャンルなので排気量が大きくなるほど日常使いに向かなくなる傾向があります。

最近のモデルは一昔前のレーサーより速かったりする。

【歴史】

最初に謝っておくとスーパースポーツという言葉主体で掘っていくと軸がブレてしまうので省かせてもらいます。

例えば1964年に出たローマの休日でおなじみベスパの派生モデル。

ベスパSS

これも名前はスーパースポーツ(スーパースポルト)だったり。他にもSSという名前の付くモデルは色々あります。

じゃあ何処にスーパースポーツというジャンルの軸を置くべきか考えたのですが

『レーサーの側面も持った誰でも買える量販車』

というのが一番分かりやすいかと思いました。

そうした時に歴史上ハッキリしているのは1907年から続く最古のレースであるマン島TT。

マン島TTレース

公道を猛スピードで駆け抜けていくデンジャラスなレースとしておなじみですね。

これに挑戦するために各々がチューニングしたバイクを持ってきて走らせたのがスーパースポーツの始まり・・・ってそれじゃ釈然としないのでもう少し掘ります。

マン島TTは最初こそ色んな人が参加するレースだったものの1947年からWGP(現MotoGP)の一戦に加えられるとメーカーによるGPレーサー(レース用プロトタイプマシン)が当たり前な状況になりました。

RM63

日本メーカーが活躍したのもWGPになってからの話。だから凄いんですけどね。

しかし他のコースとの問題からマン島TTは1976年を最後にWGPから離脱。

代わりに1977年から始めたのが

『TTフォーミュラ』

というレース。

排気量さえ守れば何しても良かったものから一転、シリンダー数や重量などまで厳しく制限されたプロダクションレースに変わりました。

※プロダクションレース=一般量販車によるレース

マン島TTレース

これはWGPのポイントが懸かってる一戦ではなくなった事で離れていくワークス(メーカー)の代わりにアマチュアを呼び込まないといけなかったから。

これが今もスーパースポーツで行われているマン島TTレースの始まりになります。

補足というか余談ですがGPレースからナショナルレースへ事実上の格下げとなり人気に陰りが見えていたマン島TTを再浮上させるキッカケとなったのが1978年に出たマイク・ヘイルウッド。

900SS

簡単に言うとかつての英雄が帰ってきて優勝した形なんですが、この時のベースマシンがドゥカティの900SS(スーパースポーツ)というバイクでレプリカが出るほどの人気となりました。

スーパースポーツという言葉がプロダクションレーサーをさす言葉として定着したのはこのマシンの影響かもしれない・・・。

ただ実はこのマン島TTのような厳しい上限を設けたプロダクションレースには前例がある・・・それは70年代前半のアメリカです。

AMAヨシムラ

アメリカはアマチュアレースが盛んに行われていたんですが、70年代に入るとヤマハのTZ750を始めとした市販版GPレーサーがレース界でブイブイ言わせていました。つまりWGPと代わり映えしないレース状態になっていたんですね。

「これならもうWGPだけいいじゃん」

となりアメリカのロードレース人気は急落していた。

そんな状況を危惧したアメリカレース協会の御曹司であり自身もレーサーだったスティーブ・マクラグリンという人が

「GPじゃない普通のバイクによるレースをやろうよ」

と言って1973年にAMA(アメリカのバイク協会)プロダクションレースを開催。

・CB750FOURやZ1など量販車の高性能化が起こっていた事

・アメリカ人はプロダクションが大好きな事

・ホットロッド(チューニング)文化が盛んなお国柄だった事

などなどの理由からレースには腕に自信のあるショップやライダーがこぞって参加し大盛況。

Z1スーパーバイク

ちなみに記念すべき第一回、1973年の優勝は皆さんご存知ヨシムラZ1です。※写真は翌74年モデル

このプロダクションレースは

「どんなチューニングをしてもいいがプロダクションのスタイルを崩してはいけない」

という美徳とも粋とも言える暗黙のルールも相まってあっという間にアメリカで一番人気のロードレースとなり、わずか4年後となる1977年には

『AMAスーパーバイク選手権』

という正式な選手権に格上げ。

KZ1000R

エディ・ローソンのKZ1000Rや最近モーターショーに出たフレディ・スペンサーのCB750Fなどが有名ですね。

ZRXやCB-SFでおなじみのカラーリングの元ネタです。

マン島TTはこれに習った面が少なからずあったわけですが

・欧州のフォーミュラ

・北米のスーパーバイク

とレギュレーションに多少の違いこそあれど同時期に

「身近なバイクによるアマチュアレース」

を始めた事でプロダクションレースはあっという間に国際的に認知され、また人気がウナギ登りになった事で日本を含めた各国も追従。

そうして世界規模になった事で1988年にプロダクションレースの頂点を決める世界選手権として開催されるようになったのが今も続いている

ワールドスーパーバイク

『WSB(ワールドスーパーバイク)』

というスーパースポーツによる世界レースです。※SBKとはWSBの1000ccクラスのこと

>>WordSBK公式サイト

スーパースポーツはどうしてもレースの話になってしまうんですが、総括というか主旨を戻すとプロダクションレースは

・自分のバイクでも参加できる

・自分のバイクがレースで戦う姿を見れる

・レースのバイクを買って乗ることが出来る

という億単位のお金が動くGPレースでは絶対に不可能な魅力を持っていたから人気になった。

そしてその人気っぷりから戦績が量販車というメーカーが売らないといけない商品の売上に直結するほどの影響力を持つようになったため、自分たちのマシンつまりGPマシンだけを造っていればよかったメーカーも無視できない存在になったいうか

「プロダクションレースで勝つ事が何よりの宣伝になる」

と捉えるようになり、自社が持つGP技術を一般量販車という枠に収めつつレースを意識したモデルを次々と発売するようになった。

ワールドスーパーバイク

「レーサーの側面も持った誰でも買える量販車(スーパースポーツ)」

がこのプロダクションレースによって次々と生まれ、またそれがGPとは少し違う形でメーカー間競争を招いた事で性能がドンドン向上していき、いつしかスーパースポーツと呼ばれるようになったという話。

だから申し訳ないんですがスーパースポーツは名前だけでなく定義も何処からかはハッキリとは断言できず

「1970年代後半のプロダクションレース人気から」

というのが最も正解に近いんじゃないかと考えます。

【最後に】

初心者の方でスーパースポーツに乗りたいなって思った人の中には

1098R

「こんなの自分に乗れるだろうか」

という不安を抱いてしまう人も多いかと思います。

確かにスーパースポーツは排気量が大きくなるほど公道では乗りにくい部類のバイクになります。

・足付き悪い

・燃費悪くて熱い

・荷物載らない

・整備しにくい

・前傾ポジション

などなどストリートとサーキットでは求められるものが違う事から何かと我慢を強いられるシーンが多い。

でも乗ってる人って結構見ますよね。足ツンツンで立ちごけしたりツーリングという違う使い方をして体を痛めたりする人が当たり前にいる。

なんでそうまでしてスーパースポーツに乗るのかっていうと、スーパースポーツにはそれを補って有り余る魅力があるから。

GSX-R1000壁紙

「俺は技術の粋を集めたクラス最速マシンに乗っている」

この事実に酔いしれる事が出来るのがスーパースポーツの魅力。

もしもカッコいいと思えるスーパースポーツがあるなら是非とも乗ってそれを味わう事をおすすめします。

該当車種

CBR1000RR600RRの系譜

YZF-R1YZF-R6の系譜

GSX-R1000GSX-R750GSX-R600の系譜

ZX-10RZX-6Rの系譜

SuperBikeの系譜

AGSTA F4の系譜

S1000RRの系譜

RSV4の系譜

Daytonaの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

フルカウルスポーツ系

フルカウルスポーツとは

非常に曖昧であまり書きたくないジャンルです。

というのもこのジャンルは御存知の通りとても広く、バイクによって性格がバラバラだから。

【特徴】

ザックリ全体的に言えるのは街乗りからツーリング、果てはサーキットまで使えるオールマイティなバイク。

ネイキッドほどポジションが起きておらず、スーパースポーツほどポジションがキツくない。

要するに良くも悪くも”突出した特徴がないのが特徴”の様なバイク。

【歴史】

フルカウルのバイクが国内で最初に発売されたのは1982年のRG250ガンマ。

ガンマ

ただガンマはレーサーレプリカでどちらかといえばSSに近い存在。

カウル車が普及し始めてすぐは「カウル付き=高性能スポーツ車」というイメージがライダー間で先行・・・というかメーカーがそういう固定観念を生ませるような商法をとっていた。

では最初に生まれたオールマイティなフルカウルスポーツは?

といわれてパッと思いつくのは1987年(日本では1992年から)のCBR600Fかなと思う。Fコンセプトがまんまそうだし。

ガンマ

でも今でこそ600Fはフルカウルスポーツに見えるけど当時としてはCBR900RRの弟分でどちらかと言えばSSの要素が強かった。その後のF4とかF4iとかになるともう600RRの前身だしね。

そう考えると一般的なフルカウルスポーツなバイクが出始めたのは比較的近年からということになる。

話が逸れるけどカウルでバイクを覆うという発想自体は実はかなり昔からあった。

最初に生まれたカウル車は1954年のモトグッチが考えたV8 GP500。

ダストビンカウルという今見るとヘンチクリンなカウルを付けてる。ちなみにダストビンとはゴミ箱の意味。

モトグッチV8GP500

まだ「空力?何それ?」という時代だったレースでいち早く空力に取り組み作り上げたマシン。もちろん圧倒的な速さを誇り伝説へ。業界に空力、そしてカウルという概念を生みました。

余談ですが

実はこのカウル、その見た目からも分かる通り横風に非常に弱く、簡単に前輪を持っていかれ危険過ぎるということであっという間に禁止されました。
MotoGPにしろ市販車にしろ今のバイクのフロントフェンダーがタイヤにちょこんと載ってるだけなのもこういう事からです。

といってもこれはレーサーの話で、市販車として初めて出たフルカウルは1976年のBMW R100RS

R100RS

BMWはこの頃(最初から)から既にツアラーでした。

話がだいぶそれました。

昨今のフルカウルスポーツで代表的なのは

Ninja1000、VFR800F、CBR650F、XJ6 Diversion F、Bandit1250F、Ninja650、CBR250R、YZF-R25、GSR250FやNinja250・・・挙げだすとキリがないですね。

人によっては「それはSSだろ!ツアラーだろ!ネイキッドだろ!」と怒る方も居るかもしれません。それほど明確なジャンルとは言いがたい。

だた最近はネイキッドモデルとフルカウルモデルの2パターン(もしくはそれ以上)になってるタイプの物が増えてきましたね。

XJ6

このジャンルがここまで国内で認知が遅れたのは上でも言ったとおり「フルカウル=高性能車」というイメージで売っていたことで、新規は近寄りがたく、スペックを求められる既存の層からは見向きもされないという板挟み状態だったから。これは言ってしまえばメーカーの自業自得感もある。

ただ近年になって一時期猛威を振るっていたレーサーレプリカが絶滅し、SSやメガスポーツといったハイスペックフルカウル車も下火になってきたことからか、フルカウル車へのイメージも大分変わってきました。

存知の通りNinja250Rに端を発したCBR250RやGSR250SやF、それにYZF-R25などの比較的エントリーフルカウルスポーツ車が人気を呼んでいる状態ですね。

250カウルスポーツ

ほんの10年前では考えられない話です。

その頃はバイクといえばネイキッドで、フルカウルは

「レーサーみたいでダサい」とか「フルカウル車のかっこよさはバイク乗りにしか分からない」

とか言われてたから。

需要はまだ比較的エントリー層だけですが、エントリー層に需要があるということは数年から数十年後には日本でもフルカウルスポーツ車がオートバイのスタンダードになる日が来るのかもしれませんね。

「ネイキッドやSSなんて非合理的でダサい」

なんて言われる日がもしかしたら・・・

該当車種

VFRCB/CBR650FCBR250RRの系譜

FZ6/XJ6/FZ8YZF-R25/3の系譜

GSX250R/GSR250の系譜

NINJA650NINJA400NINJA250の系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

ツアラー系

ツアラーとは

文字通りツーリング(長距離)走行が得意なジャンル。

BMWが最も得意とする分野で日本メーカーが軒並み弱いジャンルだったりする。

 

【特徴】

程よい前傾姿勢に加え防風性&安定性&防振性がピカイチで、昨今では色んな快適装備も付属。

スペックや見た目が保守的だったり、高額な物が多いせいかあまり話題にはならず。

ツアラーなだけあって長距離や高速道路を走らせたらこのバイクの右に出るバイクはありません。

難点としては車格が結構あるので街乗りなどの短距離走行は少し辛いものある。

【歴史】

フルカウルスポーツの方でも言いましたが最初に出たツアラーは1976年のBMW R100RS。

R100RS

じゃあ国内で一番古いツアラーは何だ?

となると記憶が確かならホンダのGL1000。そうゴールドウィングの始祖様。

GL1000

アメリカ向けにZ1000の対抗馬として生み出されたって巷では言われてるけど、ホンダとしては上流階級が乗るグランドツアラーとして開発。

ただこのGL1000は国内では正式に売らなかったし、ゴールドウィングも日本に入ってきたのは750cc規制が無くなった1990年頃から。

じゃあ国内で正式に発売されたのはっていうと、恐らく1983年にホンダから発売されたシルバーウィング インターステート(GL650 SILVER WING)

シルバーウィング

これは元となったのはCX650ターボで、ターボ抜いてGL1100の大型フェアリングを装着したもの。

その後CBR1000FやRF900R、GPZ1100やFJ1100なんかがジワジワ出たり無くなったりを繰り返して今に至る。

ちなみに日本ではメガスポの方が人気で、ツアラーはあまり好まれない傾向が強いです。

ZZR250

ただZZR250/400などリトルツアラーは人気でした。

でもそんな紆余曲折がありながらも昨今では大型ツアラーが結構出てます。

ホンダからはVFR1200F、ヤマハからはFJR1300、カワサキからは1400GTRなどなどが出ていますが

BMW K1600

人気なのは今も昔もBMWです。

長年ツアラー作ってるだけのことはあります。

該当車種

GOLDWINGの系譜

FJR1300の系譜

1400GTRの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

メガスポーツ系

メガスポーツとは

簡単に言うとSSとツアラーの間の子の様なのがメガスポーツ。

枠に囚われない排気量無制限のフラッグシップ的な立ち位置。

日本の独壇場というかスズキとカワサキの独壇場。

【特徴】

SSほどでは無いにしろ前傾姿勢で防風性&安定性&防振性もツアラーに次ぐものを持ってる。

良く言えばSSとツアラーの良い所どり、悪く言えばどちらも中途半端なバイク。

【歴史】

ツアラー系でも言ってるけど日本のツアラーの歴史が浅いのはメガスポーツというジャンルが早々に生まれたからと言えるかと。

世界最速の系譜を読んでもらえるとわかるんだけど、日本メーカーは大型バイクを作り出すとすぐに

「モアパワー・モア最高速」

へとシフトしていった。

これは消費者がカタログスペックを強く求め続けた結果でもあり、他社よりに抜きん出る最も効率的な方法だったから。それこそ、世界初の直四を積んだCB750FOURだって当時としてはメガスポーツです。もちろんZ1も。

GSX1100カタナ

GSX1100Sカタナだってそうだし、今やツアラーとなったFJR1300のご先祖FJ1100だって当時はメガスポーツ。

とにかくリッターバイクはほとんどがメガスポーツでした。

ただ当時はまだメガスポーツなんてジャンルはなく、各社とも各々が思うフラッグシップマシンを出す状態。

そんな中で今のメガスポーツの方向性を決定づけたバイクといえばやっぱり1990年に出たZZR1100

ZX1100D

147馬力で圧倒的な速さを誇り、業界はZZR一色に包まれました。カワサキも生産が追いつかないと嬉しい悲鳴を上げるほど。

10年以上にわたってロングセラーとなりました。

そしてもう一車種。

それは1998年に出たスズキ GSX1300R HAYABUSA

GSX1300R

ここらへんになると比較的新しいので記憶に新しい人も多いんでは無いんでしょうか?

ついに大台の時速300kmを超えた初めてのバイクということで世界最速の市販車としてギネスにも登録されました。

そりゃもうこれまた業界は隼一色でファイヤーブレードやR1といったカテゴリが違うバイクだろうがハヤブサとどっちが速いのか比較される始末。

ちなみにハヤブサが出た時はメガスポーツではなくアルティメットスポーツとかウルトラスポーツとか色んな呼び方がありました。メガスポーツと明確にジャンル分けされだしたのは本当にここ数年。

アルティメットスポーツ

この二車種によって”メガスポーツ=フルカウルで高馬力なバイク”という認識が広まりました。

面白いのは今やメガスポーツ界のパイオニアであるZZR1100もHAYABUSAも発売当初は総スカンで鳴かず飛ばずだったこと。

ZZRは外見が地味すぎると叩かれ、HAYABUSAは形が気持ち悪いし漢字がダサいと叩かれました。

しかし両車とも他を寄せ付けないとんでもないポテンシャルを持っていることがジワジワ広まり出したかと思うとあっという間に大ヒット車へ。

それからは皆さんご存知の様にメガスポーツはHAYABUSAとZX-14Rの二強が続いています。

HAYABUSAと14R

「何故ホンダやヤマハは追走しないのか」

と思う人も多いかもしれません。

この事についてホンダもヤマハも沈黙を守っていて、それっぽいニュアンスすら出しません。

推測ですが、恐らく世間に対するスタンス。

スーパースポーツは「サーキットで遊ぶためのマシン」という言い訳が立ちますが、メガスポーツになるとそれが立ちません。

ご存知の様に300km/h規制が出来たのも危険すぎるという世論から来たもの。世界シェアNo.1のホンダはそれを見て考え手を引いたんでしょうね。ホンダは業界一位という立場を理解していて、責任という言葉をよく口にしています。

CBR1100XXスーパーブラックバード

これは不確実な情報ですが、CBR1100XXの後継車も開発は進んでいたらしいのです。しかし世論の批判で300km/h規制が生まれたことで将来性も無くなったという事でお蔵入り。

ヤマハも同じ様な考えだと思います。

VMAX

メガスポーツとも言えるVMAXがそれまでのモデルから一気に二倍近い値段になり、ディーラー管理でガチガチという高いハードルを設けたのも、暴走行為を誰でも簡単に出来ないようにするためではないかと思います。

3ない運動というトラウマ級の過去を二度と起こさせたく無いんでしょうね。

まあしかしメガスポーツを止めたからじゃあ大丈夫かって言われたらそんなことないと思うんですけどね・・・

該当車種

CBR1100XXの系譜

VMAXの系譜

HAYABUSAの系譜

ZX-14Rの系譜

などなど

種類一覧
ネイキッドネイキッド系
ストリートファイターストリートファイター系
オフロードオフロード系
モタードモタード系
マルチパーパスマルチパーパス系
ストリートストリート系
スーパースポーツスーパースポーツ系
フルカウルスポーツフルカウルスポーツ系
ツアラー系ツアラー系
メガスポーツメガスポーツ系
クルーザークルーザー系
スクータースクーター系
クラシッククラシック系

RS4 125 -since 2011-

RS4 125

4stとなったRS125改めRS4 125

アプリリアのファミリーフェイスを取り入れた事でSBKチャンピオンマシンのRSV4と瓜二つな外見になりました。

そして何より4st化に伴いエンジンは勿論のこと、長く使われてきたRS125プラットフォームから脱却し新しいフレームと足回りに。

RS4エンジン

ちなみにエンジンはROTAXではなくデルビ製(GPR125)の物をベースなんだけど、ヘッド・シリンダー・ピストン・FI化などほぼ別物と言っていいほど手が加えられている。

あとこれ。

クイックシフター

クイックシフターがOPで用意されてる。125でクイックシフターなんて・・・

4st化に伴ってパワーバンドが広くなり2st時代とは比べ物にならないほど乗りやすくなってます。とは言うものの125の中でもトップのビッグボアショートストロークなので回してナンボなのは相変わらず。

先代に比べ軽くなったんですが、やっぱり15馬力という大幅なパワーダウンで牙が無くなったと言われるRS4。それは日本だけではなく海外でも同じように言われているわけですが、こういった見解もあります。

RS4 125

「4stになってパワーは無くなった。しかしその分だけ信頼性が上がりボアアップが容易になったと考えれば歓迎出来る。フレーム剛性は十二分だし、何より長く乗るならばね。」

言われれば確かに。

エンジン:水冷4サイクルDOHC単気筒
排気量:124cc
最高出力:
15ps/10500rpm
最大トルク:
1.12kg-m/8500rpm
車両重量:120kg(装)

【関連車種】

GROMの系譜YZF-R125の系譜Z125の系譜Small DUKEの系譜

AF-1

1987年
AF-1 125
(AF1)

R125EXTREMA

1991年
RS125
(Gs)

RS125MP型

1995年
RS125
(Mp)

RS125SF型

1999年
RS125
(SF)

RS125Py型

2006年
RS125
(Py/RD/RM)

RS4 125

2011年
RS4 125

RS125 (Py/RD/RM) -since 2006-

RD型

外見がグッと新しくなりラジアルマウントキャリパーなど足回りが完全にSSで妥協点が見当たらない第三世代のR125のPy型。2stとしては最後のRS125になります。

日本に入ってきたのは2006~2008までの28馬力モデルのみ。理由は日本の排ガス規制に通らなくなったから。だから日本ではMY(Model Year)06とかMY08って言われたりしてますね。

RS125

もう最後だぞ!もう最後だぞ!とアチコチで言われていたのを思い出します。

ちなみに海の向こうでは2009年以降も売られていたんですがEURO3(排ガス規制)が始まったことで24馬力にまで抑えられています。

タイトルの型式(タイプ)がこのモデルだけ3つもあるのはそれに伴って出力が違うから。

【TYPE:Py(EURO2モデル)】
日本にも正規で入ってきた06-08の28馬力モデル

【TYPE:RD(EURO3モデル)】
上をカットして15馬力になっているVHST28の07-08モデル(ゴニョゴニョで24ps/10500rpm)

【TYPE:RM(EURO3モデル)】

これがホントの最終モデル(08-11)でEURO3に対応しつつ23馬力と頑張ってるモデル

最終モデル

並行輸入車に手を出す猛者が居たらいけないので参考までに。タイプはマニュファクチュアプレートに書いてます。

しかしまあこんなぶっ飛んだ125は免許改正もあってもう二度と出ないでしょうね。

イタリアを筆頭に巻き起こってた2st125レーサーのブームもこの頃は完全に去っていてNSR125を始めとしたライバルはとっくに消えてたんだけど、アプリリアは最後の最後まで2stを諦めなかった。

エンジン:水冷2サイクルクランクケースリードバルブ単気筒
排気量:125cc
最高出力:
28[15]{23}ps
10500[8500]{10000}rpm
最大トルク:
1.9[不明]{1.8}kg-m
9000[不明]{9500}rpm
車両重量:137kg(装)
※[]内はRD
※{}内はRMモデル

AF-1

1987年
AF-1 125
(AF1)

R125EXTREMA

1991年
RS125
(Gs)

RS125MP型

1995年
RS125
(Mp)

RS125SF型

1999年
RS125
(SF)

RS125Py型

2006年
RS125
(Py/RD/RM)

RS4 125

2011年
RS4 125